JUMP徒然短編集〜BL version〜

勘違いLovers 〜yt×in〜 01 ページ1

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　初の主演舞台。
　しかも初日ってことで緊張しまくって、でもなんとか無事に公演を終えた俺が自宅に戻れたのは夜もずいぶん遅くなった頃。
　春とは言えこんな時間じゃ結構寒くて、車を降りるとゾクッとする。



「ハァ…やっと帰ってこれた…」



　ため息が出ちゃうのは、やっぱり疲れてるからかもしれない。

　舞台って観客から伝わるエネルギーがすごくて、それが自分のパワーになって物語を作り上げる。
　それはたまらなく幸せなことで、でも終わったあとって脱け殻状態になるんだよなぁ…




「＿＿＿＿＿お疲れさま、裕翔。」



　甘く優しいハイトーンボイスに顔を上げると、そこにはまるで妖精のように美しい彼が立っている。
　月の化身のように白く美しく、だけど儚く消えてしまいそうな…



「伊野ちゃん…どうして…？」

「そりゃ、初日を終えたカレシを労いに来たに決まってるじゃん。」



　事も無げに答えた彼の口元にはからかうような笑みが刻まれてる。
　それもそのはず。
　彼と俺は恋人同士じゃない。

　少なくとも、今は。



「とりあえず中に入れてくれない？寒くって。」



　両手で肩を擦った姿からはあどけなさしか感じないのに、襟足に覗く白い肌から溢れるのは俺を狂わせるほどの色気。
　このアンバランスさに囚われて愛を告げて愛されたいと乞うて、だけど俺の願いはまだ叶っていなかった。

　“好きなんだ”と告げた俺に“ふぅん、ありがと”としか言わなかった癖に、それから彼は俺をやたらに構うようになった。
　不意に抱きついてきたり腕を絡めたり、肩に頭を乗せてきたり。
　某番組でポッキーゲームと称して唇が触れた時なんか、心臓が破裂しそうなくらいドキドキしてその夜は眠れなかったぐらいだ。



「裕翔？ねぇ、早く入れてよぉ。」



　っく…
　その台詞、絶対狙って言ってるよね、伊野ちゃん。
　俺の気持ちを振り回して楽しんでるのわかってるけど…

　結構、理性ギリギリなんだぞ。





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