JUMP徒然短編集〜BL version〜

※ ページ39

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「いのちゃん…そのズボン、俺のじゃない？」

「うん。」



　手にした服に悪びれもせず足を通して、ジッパーを閉めてベルトをカチャカチャ。
　ついでにシャツとセーターまで抱えてる。



「………それも着てくの？」

「うん。」



　すぽん！とセーターに首を通して頭をプルプル。
　猛烈に可愛いけど、どうして？



「ふふっ…やまの匂いする〜♡」



　袖口を顔にくっつけて、匂い嗅いでる。
　そうしながら逆の手で俺を“ちょいちょい”って呼び寄せるから、隣まで行ったら抱きつかれた。



「ん〜♡こっちも山田の匂いだぁ♡」



　シャワーしたてでまだ濡れてる俺の髪を気に止めず、耳元に押し付けられる柔らかな唇。



「い〜匂い…これ、好き…」



　囁きにあわせて動くリップに、理性が焼き切れそう。



「朝っぱらから煽るなよぉ…」



　思わずホンネを漏らすと、聞こえてきたのは忍び笑い。
　クスクスと甘い響きに聞き惚れてると、チュッ！とわざと音を立てて耳たぶにキスをする。



「ね、お昼に“琵琶湖の宝石”食べに行こ。」

「宝石？」

「お魚のおいしーのがあるんだって。ふたりで行こ。」

「……おっけ。」



　“煽るなんて、そんな気はありませんよ〜♪”ってアピールのつもりか、いのちゃんの表情はとても明るい。
　だから俺も笑って返した。

　欲しい欲しいと気持ちはわめいてるけど、いのちゃんが望まないなら無理強いはできない。
　なんせ、受け入れる方のがたいへんなんだもんな。




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※→←香りの取り替えっこ〜ym×in〜(2018.2.8 caravelにて初出)

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