JUMP短編集〜十人十色の恋レシピ 5〜

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それから一週間



すっかり元気になった大貴は
“あのときのお礼だよ”って
あたしをディナーに招待してくれた






「今夜、泊まっていける？」


「え？うん、大丈夫だよ。」






食事の途中で聞かれたときは
カレの部屋に泊まるのかな…って思ってた

なのに連れていかれたのは
高級ホテルのスイートルーム






今日ってなんか、記念日だった？

やばーい！思い出せないッ！





付き合った日でもないし
誕生日でもない

あたふたしてるあたしを
大貴がそぉっと抱き寄せた






「あのさ…Aにお願いがあるんだけど…」


「な、なに？」





えっと、えーっと

初めてキスしたのはバレンタインだし
コクったのは夏だから、違うし…






「…してもらえないかな？」


「え？」






なんの記念日だか思い出せなくて
必死に考えてたから
大貴の“お願い”聞きそびれちゃった






「だめ？」





カクンて首を倒したカレは
めちゃくちゃかわいくて
こんな顔でおねだりされたら断れない






「い、いーよっ！」






でももぉ一回聞かせて




…って言おうとしたら
大貴は見たこともないくらい
幸せそうに笑った





「ありがとう…
じゃあこれ、受け取ってくれるよね？」





差し出されたのは
キラキラ輝く宝石のついたリング






「え？あの…」


「はめてあげるよ。左手、出して。」





ぷっ、プロポーズされたの！？

しかもあたし
わけわかんないまんまOKしちゃったの！？







「ご、ごめん、大貴！
さっきの約束、もーいっかい聞かせて！」


「は？」


「聞きそびれたの！ごめんなさい！」


「はぁー？ありえないだろ！それ！」





プンプン怒っちゃった大貴は
そのあとどんなに頼んでも
“約束”のことは教えてくれなかった





「とにかくっ！
Aは僕の奥さんになるのっ！」





ふぇ〜ん！

プロポーズ聞きそびれるとか
あたしってばマヌケすぎるよぉ！





・



END




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《大貴くんから一言》



どーしても知りたい？





…そんじゃ、もぉ一回だけ言ってあげる






「僕が最後に眠るときも
あの日みたいに手をつないでてください。」







Aに“おやすみ”って言ってもらえれば
天国に行くの、怖くない


もしキミが先に旅立ってたら
僕を迎えに来て欲しい





ずっとキミを愛していくよ


人生の最後に目を閉じる、その瞬間まで…ね








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