JUMP短編集〜十人十色の恋レシピ 5〜

あこがれの缶コーヒー〜keito〜 01 ページ3

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「いいお話なのよぉ？
ね、会ってみるだけでいいから！」




会社の休憩室で
あたしは保険のおばちゃんに押されまくり




「Aちゃん
まだ決まった人いないんでしょ？」


「そうですけど…」





でもお見合いなんて…
好きな人いるのにぃ…





「それじゃ来週ね！場所はここ！」


「え？ちょっとおばさん！」





押し付けられた写真と
レストランの名前が書かれたメモ

あたしがあたふたしてる間に
おばちゃんはさっさと逃げちゃった




「もおっ！
あたし、行きませんよー！」




叫んでみても後の祭り

いくらなんでも
すっぽかすわけにはいかないよね…





「ううーっ！困っちゃうなぁ…はぁ…」





気楽な服装でいいから…って言われたし
ホントに普段のスーツで行っちゃおう

そんで相手の方には
きちんとお詫びしてお断りいただいて…





“クレストホテル
リストランテ・ラ・リュミエール 11時”





メモに書かれた場所と時間だけ確かめて
あたしはそれを手帳に挟んだ

写真は最初から見るつもりなし





「だってあたしには
“ホームのひと”がいるもんねーだ。」





片思いだけど大好きなの

伝えられる勇気はまだないけれど
だからって他のひとなんか興味ない




「はぁ…」





大きなため息をついて
あたしは手帳を鞄にしまった





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