ご飯だぜ… ページ29
「終わったァ〜！」
「いやー疲れたわ」
「アンタずっと寝てただろ」
んーと背伸びする三穂の頭をはたき、鞄から財布を取り出す。
「学食？」
「うん、ココの美味いって聞いたことあるから」
「まったく…Aは食には興味示すんだから」
財布を探しながら呆れた…と首を振る三穂にお前もだろと言いたいのは私だけだろうか。
財布がない、と騒ぐ三穂を見つめながら壁に寄りかかっていると、
「A」
「ん、轟くんも学食？」
「ああ、蕎麦が美味いんだ」
轟くんと…
「…あ、雨宮さん…」
「緑谷くん」
気まずげな顔の緑谷くんが。
「久しぶり…でもないのかな、でもなんか、久しぶり」
「うん…元気そうで、よかった」
「それも、緑谷くんたちのお陰だよ。ありがとね」
その瞬間、緑谷くんの大きな瞳は苦しげに歪んだ。
「…元はと言えば、僕らの力が足りなかったからッ…！」
「…緑谷くん」
「！」
「あのねえ、いくら雄英生でも私ら同い年だよ。相手は紛れも無い敵でさあ、普通は怖いもんだよあんなの。でも立ち向かってくれたじゃん、敵わないとか、助けらんなかったとか、そんなの良いんだって、大体私は___
ここに、いんだからさ」
あと爆豪くんもね、と爆豪くんの方に目配せすると、何故か彼と目があってしまい、盛大に顔を逸らされた。悲しい。私が何をしたってんだ。
そして真正面の緑谷くんを見ると…
「な、なんで泣くの…」
「あっ、雨宮さんが、優しい、からだよ…ッ！こちらこそ、ありがとうっ！」
足元に池ができそうな勢いだなあ、と苦笑を浮かべ、彼の手を握った。
ヒーローらしい、意外に大きくて固い、逞しい手だった。
「ッあー！A浮気はいけないぞお！」
財布片手に私を指さす三穂。
「してねーよ！」
「ハッ、僕は一体何を…ご、ごごごごめん雨宮さん！」
「…三穂のせいで緑谷くん壊れたぞ」
私の手を握っていた事に今更ながら気付いたようで、いきなり真っ赤になって慌て出す緑谷くん。
「今日は、この4人で食べるか」
轟くんが静かに呟いた。
「いいねー、私賛成」
「轟くんとご飯！！」
「ぼ、僕が、いいのかな」
いいんだよ、と笑いかけると、またもや緑谷くんの顔が赤く染まる。どれだけ女子に耐性ないんだ。
「…A」
「ん？」
「お前の彼氏は、俺だからな」
不機嫌そうな轟くんの顔が近づく。
破廉恥！！
意味不明な私の叫びが、校舎に響き渡った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 314人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玲音 - 可愛いかよっ…ｳﾞｯ(心肺停止) (2018年7月9日 2時) (
レス) id: 89de5cc263 (このIDを非表示/違反報告)
山田中 - 紫苑さん» そうですよね、やっぱりお風呂って言えばluckyスケベですよね。縁はないんですけどね。好きです。 (2018年7月8日 14時) (レス) id: 516ccbe87e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - セコム轟っょぃ。洸太くんこっち落ちてきたってことは…お察しですよね(ﾆﾔﾆﾔ (2018年7月8日 3時) (レス) id: 3603310884 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - 山田中さん» はい。更新楽しみに待ってます。 (2018年5月12日 8時) (レス) id: 20aecf2dbb (このIDを非表示/違反報告)
山田中 - 鈴木美妃さん» ありがとうございます！とても励みになります…嬉しいです。最近忙しくてなかなか更新できなかったのですが頑張りますね！ (2018年5月12日 8時) (レス) id: 24db06f8bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山田中 | 作成日時：2018年5月3日 23時
