悪 ページ22
「っんで俺がテメェにど突かれなきゃなんねぇんだ！死ね！」
「ごっ、ごめ、この人があんまりぶっ飛んだあり得なく気持ちの悪いことを言うものだから…」
「中々酷いこと言うな」
楽しげに荒れた口元を歪ませるこいつは本当にヒーローを倒してしまうほどの力量があるのか、私には分からなかった。
けど、漠然とした恐怖は感じた。所詮は空元気、体の震えはどうにも隠せなかった。
誰かが助けに来てくれるのだろうか。
三穂は、大丈夫だろうか、意外に情に熱い優しい子だから、責任感じてたりすんだろうな。
轟くんも、心配してるかなぁ…。
考えれば考えるほど、ここから逃げ出したくなってじんわりと涙が滲んだ。
「なあ、名前はなんていうんだ」
「えっ、い、いま？」
「いつだっていいだろ」
子供か。
ただそう思った。お陰でアンニュイな気分もちょっとマシになったわ。
「雨宮…雨宮Aだよ」
どうせここで教えなくとも後々調べられるんだろうなというのは何となく察知した。かっちゃんくんも色々とバレバレだったし。
それでなのか、かっちゃんくんは何も言わずに不機嫌そうに眉間にしわを寄せ、下唇を突き出していた。これが彼のデフォなんでしょうが。
「Aかあ…雨宮…A、なんか聞いたことあるような気もする」
「いや無いだろ」
面識あってたまるかこんな闇深そうな男(敵)と。
いや、ある と変なところで意地を張る男に溜息を吐きながら、それと一緒に私は特に興味もないことを口に出した。
「アンタは？」
「は？」
「いや、私だけ明かすのはおかしいでしょ。アンタも名前ぐらい教えなよ」
…自分は突拍子のない質問には弱いのか。
あんぐりと口を開ける目の前の男を笑うと、ハッとしたように、しかし小さな声で彼は答えた。
「…しがらき とむら」
「へえ、良い名前貰ったんだね」
彼はまた驚いたようだった。
ああ、もしかしたら しがらきは、子供のまま大人になれなかった人間なのかもしれないと思った。
相手を敵と言うのなら、それは悪だ。
それでは正義も、悪になりうる時がある。
正義を憎む悪は、何故生まれる？
正義も悪も、互いに存在するからそこにある。
しがらきも、正義が創り出した悪なのかもしれないなあ。
そう思うと酷く哀しく思えて、彼の霞んだ赤色の瞳の奥が知りたくなった。
そしてちょうどこの時場違いなピザ配達の声がドア越しに聞こえて来たのである。
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玲音 - 可愛いかよっ…ｳﾞｯ(心肺停止) (2018年7月9日 2時) (
レス) id: 89de5cc263 (このIDを非表示/違反報告)
山田中 - 紫苑さん» そうですよね、やっぱりお風呂って言えばluckyスケベですよね。縁はないんですけどね。好きです。 (2018年7月8日 14時) (レス) id: 516ccbe87e (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - セコム轟っょぃ。洸太くんこっち落ちてきたってことは…お察しですよね(ﾆﾔﾆﾔ (2018年7月8日 3時) (レス) id: 3603310884 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - 山田中さん» はい。更新楽しみに待ってます。 (2018年5月12日 8時) (レス) id: 20aecf2dbb (このIDを非表示/違反報告)
山田中 - 鈴木美妃さん» ありがとうございます！とても励みになります…嬉しいです。最近忙しくてなかなか更新できなかったのですが頑張りますね！ (2018年5月12日 8時) (レス) id: 24db06f8bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山田中 | 作成日時：2018年5月3日 23時
