ゼロの執行人 ページ31
サミット会場とされている
エッジ・オブ・オーシャンの周辺は
警視庁の警備艇が巡回している。
デッキにたった公安部の刑事らが双眼鏡を覗いて周囲を警戒しているのが見て取れる。
『さて、中身の下見に取り掛かるか。』
もちろん私も警戒しなきゃならない。
公安部所属の風見裕也が部下と共に
ビルの外へ向かっていくのとすれ違う。
その時だ。
ドォォォォォオン!!___
轟音が辺りを襲う。
周りに飛び散る瓦礫に飛び移りながら、
私は脱出しようとした。
『う、うそ。まじか…』
四方八方炎に囲まれてる。
…脱出は不可能に限りなく近い。
『緊急事態だし、許して…くれるよね』
サミットの時に使うはずであった
消火器を取り出す。
全力で走り、炎の合間を抜けていく。
軽く腕や足が火傷していくが、
気に留めていられなかった。
走らなきゃ死ぬもん。やだよ
出口が近づいてきた時、
傷だらけになった降谷零の方が
よろめきながら隣にやって来た。
零「傷だらけだな」
『人のこと言えないじゃん。』
ふらついた足取りで
2人並んで道路まで歩く。
振り返れば、
ボロボロになった国際会議場が目に入る。
しばらくすると、
炎に包まれた鉄柱が倒れてくる。
『零!危ない!』
零を庇いながら、
ひとまずここから離れていく。
零「申し訳ない。」
『今はそんなこと考えてるほど余裕ないよ。早く遠くにいかないと、巻き込まれるよ』
零の腕を肩に回し、歩いていく。
零「これが今日で良かったかもしれない。」
『住民に被害がいかなかっただけね。
国としては、何も良くないよ』
ゼロとしての呟きは、
炎にかき消されていった。
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作者名:ななみん | 作成日時:2020年12月17日 15時