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「誰⁉って…赤井!?」
ターゲットの車にぴたりと張り付き走行していると、
後ろから赤いマスタングが迫ってきた。
ウインドウ越しに捉えたその姿は。
FBI捜査官の赤井秀一。
また、あんたなの。
キュラソーは、公安のものだ。
絶対に、奪われたりはしない。
「下れ、赤井!」
零がアクセルをフルに踏み込んで、
マスタングを追い越した。
その瞬間、赤井と目が合う。
変装しているため、容姿は普段とはかけ離れているはずだけど、彼には分かったみたいだ。
「Aか...厄介だな」
Aは焦っていた。
この場において、彼女がただ逃走にだけ専念する訳がない。きっと、メールを送ろうとしているところだろう。
保険をかけるため、RUMに報告メールでも打っていたとしたら。もしその中にキールやバーボンの単語が含まれていたとしたら。きっと、ただでは済まない。
瞬間記憶能力に優れている彼女は、
きっとあの短時間でも情報を読み取り、
記憶した違いない。
こうなったら諸共事故でも起こして
止めるという方法しか取れない。
でも、一般車もいるため、中々追いつけない。
少しでも妨害するため、電話をかけた。
『ちょっと!派手にやりすぎじゃない?
ていうか、置いて行かれたし⁉
近くにいたバーボンに乗せてもらえたけど…。
それにしても、どうする気!?』
〈悪かったわ。あと、バーハンは敵よ。乗っても意味ない。あなたも捕まるわよ?じゃ、アスティ、
あとでかけるわ〉
『チッ!』
ぷつりと切られてしまい前を向いた時ーー
「はぁ⁉」
セダンに車を弾かれ、
宙へと舞った赤い一般車がこちらへと飛んできた。
安室は間一髪で避けるが、
赤井はそれに進路を妨害されてしまう。
それはいいんだけど…
これ、周りに被害及すぎじゃない?
ごめんね、一般の人
零が口角を上げたのもつかの間、
彼女は一般トラックにガードレールを被らせると、
その車体へと乗り上げ別の道路へと飛び移った。
メールも送信完了し、
不敵に微笑んだ彼女の顔を私は見逃さなかった。
しかし、ハンドルを殴る彼女の進行方向は、
渋滞で壁が出来ていた。
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作者名:ななみん | 作成日時:2020年12月17日 15時