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「そ、そんなに驚くなよ」
『いや、なんか……珍しいなって』
一緒に帰るなんて、いつぶりだろう。
一郎太はいつも、幼馴染の円堂くんや他の男子と帰っていることが多いし、私も別の友達と一緒のことがほとんどだ。
小学生の時も、大会の後たまたま家族で……みたいな時はあったけれど、中学に上がってからはなんだかそれも気恥ずかしくて。
それが突然私を待っていたなんて、予想もしなかったことに思わず驚いてしまった。
「……今からちょっと話せないか？」
『いいけど、本当にどうしたの？』
「いや、大したことじゃないんだけどさ」
一郎太は私の質問に曖昧な返事をすると、河川敷に行くことを提案してきた。
その深刻というか、申し訳なさそうな様子に、嫌な不安がどんどん浮かんでくる。
……一郎太、やっぱり、なんか変だ。
……まさか、怪我とかじゃないよね？
結局、よく分からないまま私はそれに首肯して、一緒に河川敷まで行くことになった。
.
河川敷について、とりあえず近くのベンチに座る。
……ほんとに、何を言われるんだろう。
少しだけ緊張していると、一郎太はふと私に尋ねた。
「あのさ、今度、春季大会あるだろ。あれ、出れそうか？」
『え……？ああ。うん、勿論！出場権、ばっちり勝ち取ったよ！』
……なんだ、今度の大会の話か。
私は先程の心配が杞憂だったとわかり、ほっと胸を撫で下ろす。
「そっか、さすがだな」
大きく頷いた私、一郎太は綺麗に微笑んだ。
＿しかしその数十秒後、私は衝撃の言葉を聞くことになる。
『一郎太も勿論出るでしょ？あ、そうだ……部門違っちゃうけど、タイムで競わない？』
「それなんだけど、俺……サッカー部の助っ人行くことになってさ、次の大会、出ないんだ」
……え？
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作者名：花鈴萌 | 作成日時：2024年3月24日 22時
