恋は吹き抜ける風と共に【風丸一郎太】 (ページ1)

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プロローグページ1

＿小さい頃から、私は周りの誰よりも足が速かった。

「Aちゃん、ほんとに足速いよね！」

「クラスリレー、女子は絶対優勝だろ！なんてったって、うちのクラスには颯田がいるんだしな」

＿小学生になって大会に出れば最年少ながら優勝を飾って、大人たちは口を揃えて私を褒め称えた。

「この歳で、このタイム……これは将来が楽しみですね」

「是非、うちのクラブへ入団を！」

＿生まれ持った、唯一無二の才能。

自分は走るために生まれてきた。

これからも誰にも負けないのだと、幼心ながら確信していた。

……そう、あの日までは。

『……え、うそ』

あの日、あの大会で、私は初めて敗北を知った。

私を抜き去った、爽やかな蒼い疾風。

……あなたみたいになりたい。

……あなたのように走りたい。

そうやってずっと、ずっと、走ってきたのに＿

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これは、私と彼が、激しい風と共に走り抜けた

宝物のような、あおい、青い日々の物語。