１９４ 亀裂 ページ10
「……。」
でも、源はイナズマジャパンを離れた後、一体どうするつもりなのだろう。
"もし、イナズマジャパンからあの子が離れたら＿"
そんな言葉が、ふと脳裏を過ぎる。
あの時、その"続き"を源のお母さんが口にすることは無かった。
……でも、本当に、そうだとしたら？
……本当に、源に生きる意思がないとしたなら？
「……！」
……そんなの、絶対だめだ。
意を決して大きく息を吸う。
しかし、その名前を呼びかけたその瞬間、隣にいた円堂が立ち上がって、俺より先に声を上げた。
「源！！！！！」
『……！』
驚いたように顔を上げる源、俺を含め、皆の視線が一気に円堂に集まる。
円堂は唖然とする俺たちを見回した後、真っ直ぐと源の方を向いて、口を開いた。
「本当に、それで良いのか？マネージャーを辞めたいって、本当に心から、そう思ってるのか？」
『え…』
大きく揺れる、源の瞳。
誰に声をかけられようが、言わば頑なであったその笑顔が、その瞬間に崩れたのがわかった。
円堂は、何も答えないまま黙り込む源に、更に言葉を続ける。
「病気とか負担とか、一人で抱え込むなよ！マネージャーの仕事は助け合えばなんとかなる。練習だってそうだ。何があっても、俺たちはこれまで変わらない。……いや、これまで以上だ！」
「円堂」
俺は思わず呟いて、円堂を見上げた。
円堂は一度俺を見て頷き、席を離れたと思えば、そのまま源の方へ歩き出す。
「……源、言ってたよな。サッカーが大好きだって。」
『っ、』
「……俺たちだって源と同じだ。サッカーが大好きだ。ただチームってだけじゃない。俺たちはサッカーへの思いで繋がってる仲間なんだ！」
一歩、また一歩と源に近づいていく円堂。
対して源は、何かに苛まれているかのように胸の辺りを押さえ、苦しそうな表情を浮かべている。
「源？」
＿何かが、おかしい。
一度そんなことが脳裏を掠めれば、一気に不安な気持ちが胸を埋め尽くす。
「俺達は、源の意思を尊重しなくちゃならない。でも本当は自分が一番分かってるんじゃないのか。」
一方、円堂は源の正面でようやく足を止め、右の手の平を、源に差し出した。
「サッカーやろうぜ、源。」
『……！』
源は大きく目を見開き、刹那、顔を伏せる。
そして、暫しの沈黙＿
それを破ったのは、苦しげな叫びだった。
「え……」
『っ、うるさい！』
源は、円堂の手を思い切り振り払っていたのだった。
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花鈴萌(プロフ) - ayadesuさん» 長い間応援していただきありがとうございます！同い年なんですねめちゃくちゃ嬉しいです……！同世代でイナイレ好きな子が少ないので……これからも頑張りますね！ (3月16日 0時) (
レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ayadesu - この小説ができた頃から応援してます！！私も作者さんと同い年なので勝手に親近感を感じながらも、こんな上手にお話が作れるなんてすごい！と思いながら読んでいます。これからも頑張ってください！ (3月11日 21時) (レス) @page9 id: 108ac644bd (このIDを非表示/違反報告)
花鈴萌(プロフ) - ありすさん» 長い間応援して頂いてありがとうございます！大好きといっていただけて本当にありがたいです。これからも頑張っていきますので、完結までよろしくお願い致します！ (3月2日 11時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ありす - いつのまにかめっちゃ進んでてびっくりしてます！！このお話ほんとに大好きなので続きが楽しみです！作者さんのペースで頑張ってください！ (2月27日 14時) (レス) @page3 id: d48b66107c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花鈴萌 | 作成日時：2024年2月18日 0時
