１９１ これが最後 ページ7
Aside
一台の車が、河口湖スポーツセンターの前に停まる。
「A、本当にいいのね？」
『……うん。』
お母さんはまるで念押しをするように私に何度も確認したけれど、最後は"Aが決めたことなら"と頷いてくれた。
今思い返せば、マネージャーになる時にもお母さんと同じようなやり取りをしたけれど……
あの時、あんなに求めていたマネージャーというものが、今は自分を追い込む重荷でしか無くなってしまったのは、なんと皮肉な事だろうか。
……でも、もう、どうしようもない。
「……それじゃ私、先に降りて車椅子取ってきちゃうね」
『うん。ありがとう、お母さん』
お母さんが車のドアを閉めたのを見送ってから、私はスマホの電源をつけて日付を確認する。
明るく光る液晶画面に表示された数字を見て、私は息をついた。
中国戦まで、あと3日。
……かなりギリギリになってしまった。
次の中国戦といえば、日本が世界に行けるかどうかが掛かる大一番。
そんな大切な試合の直前になるべく迷惑になりたくなくて、一早く外出許可が貰えるように無茶を言った。
だからこそ、欲を言えば自分で歩いていきたかったけれど……車椅子という点に関しては妥協するしかない。
……やっと、イナズマジャパンから離れられるのだ。
そう思えば、こんなギリギリになっても嫌だという気持ちより安心感が胸に溢れてきて……なんだか、どこか悲しい気がする。
"やめたくない"
"私を受け入れて欲しい"
『……っ、』
＿うるさいほどに響く、弱い弱い、私の声。
まるでそれをシャットダウンするように私は液晶画面を操作して、メールボックスを開く。
一番新しいメール、そこには、【フロイ・ギリカナン】という文字。
イナズマジャパンを去って、これから、私は＿
「A、準備出来た？」
『……うん、今行くね』
.
.
お母さんに支えられながら車椅子に乗って体勢を整えて、その後は自分で運転しながら河口湖スポーツセンターの入り口へ向かう。
お母さんはもう着いてくる事はなく、ここからはひとりで皆に最後の挨拶をしなくちゃいけない。
『……誰もいない』
とりあえず玄関先に着いたものの誰の姿もなく、私は思わずほっと息をつく。
『今……あ、ミーティングの時間か』
緊張なのか恐怖なのか、震える身体を抑えて私は進んでいく。
……これが、最後なんだ。
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花鈴萌(プロフ) - ayadesuさん» 長い間応援していただきありがとうございます！同い年なんですねめちゃくちゃ嬉しいです……！同世代でイナイレ好きな子が少ないので……これからも頑張りますね！ (3月16日 0時) (
レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ayadesu - この小説ができた頃から応援してます！！私も作者さんと同い年なので勝手に親近感を感じながらも、こんな上手にお話が作れるなんてすごい！と思いながら読んでいます。これからも頑張ってください！ (3月11日 21時) (レス) @page9 id: 108ac644bd (このIDを非表示/違反報告)
花鈴萌(プロフ) - ありすさん» 長い間応援して頂いてありがとうございます！大好きといっていただけて本当にありがたいです。これからも頑張っていきますので、完結までよろしくお願い致します！ (3月2日 11時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ありす - いつのまにかめっちゃ進んでてびっくりしてます！！このお話ほんとに大好きなので続きが楽しみです！作者さんのペースで頑張ってください！ (2月27日 14時) (レス) @page3 id: d48b66107c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花鈴萌 | 作成日時：2024年2月18日 0時
