１８８ 渡されたメモ ページ4
『……。分かった』
一瞬、いやな汗が背中を伝ったけれど、私は毅然として首を縦に振った。
……最初は、自分でやりたいと言って始めたこと。
だからこそ終わらせるのも私自身、確かにお母さんが言うことは理にかなっている。
「あなたももう子供じゃないから、全部自分で決めて良い。私も何も言わない。……けれど、よく考えて」
お母さんはそう言ってから、徐に小さなメモを私のベッドのサイドテーブルに置いた。
何これ、そう言いかけた私を他所に、お母さんは先生に呼ばれて「あとでね、」と部屋を後にする。
『これ、メモ？お母さん、急にどうしたんだろ』
ベッドから少しだけ身を乗り出してその紙切れを手に取ってみれば、そこには見慣れない言語と、恐らくメールアドレスなのか、連絡先らしきものが載っていた。
『何、これ……。っ、』
"怪しい"
そんな言葉が頭をよぎりながらも、私はまるで何かに突き動かされるかのようにスマホを開き、翻訳アプリをタップする。
……不思議なことに、このメモたった一枚が、自分にとってとてつもなく価値があるものに見えたのだ。
『……ロシア語？』
震える手でカメラを向けて言語を調べてみれば、今まで全く縁のない言葉であった"ロシア語"という言葉が表示され、私は思わず息を呑む。
そのまま恐る恐る翻訳ボタンをタップすれば、その記号の羅列が簡単に日本語に変換され、私の目の前に現れた。
【親愛なるAへ。君のお父さんが今何をしているか、知りたい？いつでも連絡して。君の協力者より。】
『……！？』
＿お父さん？
信じられない程の衝撃が身体を走り、私は思わずスマホを落としそうになる。
……お父さんの今？
……一体誰が
……なんで私の名前を、
背中にまた、ふつふつと汗が湧く感覚。
頭の整理がつかず、暫く呆然とその文章を読み返して、見つめる。
『……っ、』
……こんなの、嘘。
お父さんなんてもう知らない、忘れたい。
私は急いでスマホの電源を落とし、ベッドに身体を横たえる。
＿本当はゴミ箱にメモを捨てようとしたけれど、それはどうしても出来なかった。
結局、私はそれをサイドテーブルの引き出しの中に投げ入れて、乱暴に閉じたのだった。
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花鈴萌(プロフ) - ayadesuさん» 長い間応援していただきありがとうございます！同い年なんですねめちゃくちゃ嬉しいです……！同世代でイナイレ好きな子が少ないので……これからも頑張りますね！ (3月16日 0時) (
レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ayadesu - この小説ができた頃から応援してます！！私も作者さんと同い年なので勝手に親近感を感じながらも、こんな上手にお話が作れるなんてすごい！と思いながら読んでいます。これからも頑張ってください！ (3月11日 21時) (レス) @page9 id: 108ac644bd (このIDを非表示/違反報告)
花鈴萌(プロフ) - ありすさん» 長い間応援して頂いてありがとうございます！大好きといっていただけて本当にありがたいです。これからも頑張っていきますので、完結までよろしくお願い致します！ (3月2日 11時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ありす - いつのまにかめっちゃ進んでてびっくりしてます！！このお話ほんとに大好きなので続きが楽しみです！作者さんのペースで頑張ってください！ (2月27日 14時) (レス) @page3 id: d48b66107c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花鈴萌 | 作成日時：2024年2月18日 0時
