２０９ 閉ざした心 ページ25
NO side
一方、所変わって源家では＿
『だから、行かないって言ってるでしょ！』
「でも、A……！」
廊下に響く、扉が強く閉まる音。
思い切り扉を閉めたAはベッドに顔を埋め、それに対してドアの向こうの母親は力無く項垂れた。
明日の中国戦を観戦するか、しないのか＿
それを巡って、この家ではもうかれこれ2時間ほどこんなやり取りが続いていた。
「ただ観るだけだよ、別に試合を観てどうこうしろなんて言わない！」
『だからそれも嫌って言ってるでしょ！どうしてそこまで明日の試合に拘るの！』
飛んできた疑問、母親は口を噤む。
……母親は、なんとかして明日の試合をAに観に行かせたかった。
というのも、それがAの心を変える最後の手段で＿
それに彼女の未来がどうなるかが掛かっていると言っても、過言では無かったのだ。
……が、しかし。
『私はもうイナズマジャパンには関わりたくないの。……っ、ほっといてよ！』
完全に心を閉ざしてしまった今のAにとっては、イナズマジャパンの試合を見る事は恐怖でしかなかった。
試合を観れば、皆を見れば、また戻りたくなってしまう。
せっかく一度覚悟を決めたとしても、すぐに生きたいと願ってしまう自分がいることを、A自身も気づいていた。
そんな状態では、母親の言葉を聞く余裕は無い。
「やっぱり、私一人じゃ……」
窮地に陥った母親はそう呟くと、ふと、壁に掛けられた時計を見つめる。
……彼は、本当に来てくれるのだろうか。
.
.
.
風丸side
「……ここか」
目の前には、高くそびえたつマンション。
メモと一致する住所、漸く辿り着いたのだと分かって俺はホッと息をついた。
野坂と別れてから、約2時間半＿
何も考えないまま公共交通機関を乗り継いで、漸くメモに書いてあった住所にたどり着いた時には、辺りはすっかり暗くなっていた。
「ここが、源の家……」
明らかに裕福そうな高層マンション、源の父親が会社を経営していたという話を思い出す。
……エレベーターにあるものも合わせてインターホンは３つ。
緊張して番号を押せばすぐに源のお母さんが出て、思ったよりすんなりと通れた。
「源、どうしてるかな」
俺が突然来て、源が喜ぶ顔は正直全く想像できない。
……むしろ怒るんだろう。でも話せれば、それで良い。
そんなことを考えながら、俺は部屋の前、最後のチャイムを押した。
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花鈴萌(プロフ) - ayadesuさん» 長い間応援していただきありがとうございます！同い年なんですねめちゃくちゃ嬉しいです……！同世代でイナイレ好きな子が少ないので……これからも頑張りますね！ (3月16日 0時) (
レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ayadesu - この小説ができた頃から応援してます！！私も作者さんと同い年なので勝手に親近感を感じながらも、こんな上手にお話が作れるなんてすごい！と思いながら読んでいます。これからも頑張ってください！ (3月11日 21時) (レス) @page9 id: 108ac644bd (このIDを非表示/違反報告)
花鈴萌(プロフ) - ありすさん» 長い間応援して頂いてありがとうございます！大好きといっていただけて本当にありがたいです。これからも頑張っていきますので、完結までよろしくお願い致します！ (3月2日 11時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ありす - いつのまにかめっちゃ進んでてびっくりしてます！！このお話ほんとに大好きなので続きが楽しみです！作者さんのペースで頑張ってください！ (2月27日 14時) (レス) @page3 id: d48b66107c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花鈴萌 | 作成日時：2024年2月18日 0時
