２０５ 絶対に助けよう ページ21
「強迫観念……？」
大谷は、未だ戸惑っているように尋ね返す。
源のお母さんは頷いて、ここからは精神的の先生のお話ですが、と更に言葉を重ねた。
「この短期間、Aの中で大きくなった"生きたい"という希望が、やがてその心を形成していた諦めや絶望感を凌ぐようになりました。」
「しかし心の根底を覆すのは、危険が伴うこと。その防衛本能として、生きることを否定する人格が分離したんです」
つまり、源のお母さんの話をまとめると＿
今、源の中には、生きたいと願う希望の心、そしてそれを抑制する為の絶望の心……いわば二つの人格が存在している。
しかし、人格が二つに分離したのは最近のことで、だからこそ先程のように、未だに精神が不安定な状態なのだ。
「じゃあ、また一星の時みたいに統合ってことになるのか……？」
剛陣は考え込むように唸りながら、ひとりごとのように静かに呟く。
源のお母さんはそれに首肯したものの、ただ、と少しだけ声のトーンを落とした。
「残された時間は、もうほとんどないんです」
「時間がない？」
予想外の言葉に、俺は思わず声を上げる。
源のお母さんは悩ましげに眉を顰め、やがて、意を決したように俺たちを見渡した。
「一星くんとは違って、二つの人格は本来どちらもAの心から生まれたものです。ただでさえ二つの人格をコントロールするのは難しいことですから、このままでは……」
ここで、口を噤む源のお母さん。
そしてその続きの言葉は、全て理解したように頷いた一星によって、言い放たれた。
「……絶望の人格に、呑み込まれてしまう」
「！」
絶望の人格に、呑み込まれる＿
それはつまり、源が今度こそ、完全に生きる意志や希望を失ってしまうことを表していた。
「そんなの、ダメだ……！」
叫ぶように声を震わせる円堂。
俺たちもそれぞれ顔を見合わせ、頷き合う。
何か、助ける方法はないのだろうか。
……いや、絶対に助けたい。助けなければならない。
例え、それを源が望まなくとも、俺は源にこれからも生きていてほしい。
その未来を信じたい。
「時間がないなんて関係ない。僕は、Aに生きて欲しい……！」
最初に声を上げたのは、野坂。
俺も立ち上がり、頷いた。
やがてその場の全員が立ち上がれば、源のお母さんは、皆さんならそう言ってくれると思った、そう微笑んだ。
「だからこそ、私はここに来たんです。皆さんにお願いしたいのは……」
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花鈴萌(プロフ) - ayadesuさん» 長い間応援していただきありがとうございます！同い年なんですねめちゃくちゃ嬉しいです……！同世代でイナイレ好きな子が少ないので……これからも頑張りますね！ (3月16日 0時) (
レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ayadesu - この小説ができた頃から応援してます！！私も作者さんと同い年なので勝手に親近感を感じながらも、こんな上手にお話が作れるなんてすごい！と思いながら読んでいます。これからも頑張ってください！ (3月11日 21時) (レス) @page9 id: 108ac644bd (このIDを非表示/違反報告)
花鈴萌(プロフ) - ありすさん» 長い間応援して頂いてありがとうございます！大好きといっていただけて本当にありがたいです。これからも頑張っていきますので、完結までよろしくお願い致します！ (3月2日 11時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ありす - いつのまにかめっちゃ進んでてびっくりしてます！！このお話ほんとに大好きなので続きが楽しみです！作者さんのペースで頑張ってください！ (2月27日 14時) (レス) @page3 id: d48b66107c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花鈴萌 | 作成日時：2024年2月18日 0時
