２０１ 心の病 ページ17
「皆さんのお話、聞かせて頂きました。……まず、娘の勝手な失礼をお許し下さい」
源のお母さんは改めて全体に自己紹介をし、更に俺たちに向かって深く、頭を下げた。
突然の母親の登場、そして重い謝罪に戸惑いながらも俺たちはぎこちなく首を横に振る。
「ささ、お母さん！コチラへどうぞ」
緊張した空気の中、暢気に源のお母さんに手招きをする監督。
源のお母さんはそれに従ってミーティングルームの前の壇上に立つと、一度俯き、暫くして、再び顔を上げる。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「先程のAの様子、皆さんも驚いたと思います。完全に私の不始末です……もっと様子を見ておくべきでした。まさか、本当に辞めると言い出すなんて」
まさか、という言葉。
……どうやら源のお母さんも、源がマネージャーを辞めたいと言ったことは予想外だったらしい。
後悔の念が溢れて、まるで、苦悶しているような声だった。
「……一星君、でしたね」
続く沈黙の中、源のお母さんは身体の向きを変え、その瞳に一星を映す。
突然名前を呼ばれた一星は動揺したのか、強張った表情を浮かべながら返事をした。
「あ……は、はい！」
あなたの話はAから聞いています、そう微笑む源のお母さん。
一星は怒られでもすると思っていたのか、少しだけ安堵したような、拍子抜けな反応をした。
そんな一星を見てから、続いて全体を見渡して、源のお母さんは絞り出すように、言葉を続ける。
「本当はもっと早く伝えるべきでした。さっき一星君が言ったことですが、実は、半分は合っているんです」
「……！」
俺は思わず、息を呑んだ。
一星が言ったことが合っている……それはつまり、源が二重人格であるということ。
やはりあの違和感は、勘違いではなかったんだ。
……ただ、今の言葉には半分、という含みがあった。
俺と同じようにそのことを疑問に思ったのだろう、タツヤが遠慮がちに声を上げた。
「その、半分とはどういうことですか？」
「それは……」
その疑問に、源のお母さんは一度躊躇うように視線をそらし、やがて黙り込んでしまう。
しかし何か、意を決したように頷いてから、俺たちに向かってゆっくりと語り出した。
「……二重人格とは少し違って、Aの場合、正確には完全に人格が分離しているわけではないんです。というのもAは元々、心的外傷後ストレス障害……複雑性のPTSD、そう診断されていたんです」
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花鈴萌(プロフ) - ayadesuさん» 長い間応援していただきありがとうございます！同い年なんですねめちゃくちゃ嬉しいです……！同世代でイナイレ好きな子が少ないので……これからも頑張りますね！ (3月16日 0時) (
レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ayadesu - この小説ができた頃から応援してます！！私も作者さんと同い年なので勝手に親近感を感じながらも、こんな上手にお話が作れるなんてすごい！と思いながら読んでいます。これからも頑張ってください！ (3月11日 21時) (レス) @page9 id: 108ac644bd (このIDを非表示/違反報告)
花鈴萌(プロフ) - ありすさん» 長い間応援して頂いてありがとうございます！大好きといっていただけて本当にありがたいです。これからも頑張っていきますので、完結までよろしくお願い致します！ (3月2日 11時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
ありす - いつのまにかめっちゃ進んでてびっくりしてます！！このお話ほんとに大好きなので続きが楽しみです！作者さんのペースで頑張ってください！ (2月27日 14時) (レス) @page3 id: d48b66107c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花鈴萌 | 作成日時：2024年2月18日 0時
