余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ9)

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NO side

「サウジアラビアのボールでキックオフです！」

『始まった……！』

「……。」

ベンチではAが見守り、フィールドでは野坂が目を光らせる中、ついに運命の試合は始まった。

ホイッスルと同時に切り込んできたのは、背番号10番、7番のサウジアラビアのエース二人。

『あっ』

Aは小さく声をあげる。

そこに尽かさず真っ先に突っ込んで行く日本の選手がいたからだ。

その選手は、背番号11番……一星充。

彼はボールを取るような仕草をし、尽かさず敵に小さく。

「野坂の戦術のキープレーヤーは、風丸と吹雪だ……！ラフプレー対策をしている、生半可なタックルでは……」

……そう、彼もサウジアラビアの選手二人も、当たり前のようにオリオンの使徒であった。

しかし、その忠告は背番号10番アンドレアスに遮られる。

「黙れ無能が」

「！」

刺々しい言葉に思わず息を呑む一星。

そしてもう一人、背番号7番のヒソカも追い討ちをかけるように声をあげる。

「おいおい、そんな奴と喋ってると無能が移るぞ！」

「……っ」

"無能"

その言葉は、一星の心に真っ直ぐと突き刺さる。

もはや自分がオリオンの使徒として機能できてない事は、一星自身が誰よりも分かっていた。

だからこそ、焦っていたのだ。

「さっさと失せろ屑が」

呆然とする一星を抜き去り、サウジアラビアの選手はボールを運んでいく。

……もっとも、二人の標的はゴールだけでは無い。
キープレーヤーを潰すのも、オリオンの使徒としての使命だ。

「うぉおお！」

そこで、ちょうどキープレーヤーの一人である風丸がスライディングでパスカットをしボールを持つ。

ここぞと無いチャンスに、すぐさまサウジアラビアの選手が三人、風丸を囲んだ。

「……！っ、」

「まずはお前からだ」

足を狙って仕掛けられる、あからさまなラフプレー。

その激しさに、ベンチからもフィールドからも不安げな視線が集まる。

「無駄だ！」

しかし風丸はボールをキープしながらも巧妙なステップでこれを避け、ベンチからも声があがった。

「やるじゃねえか風丸！」

「特訓の成果が出てますね！」

『……。』

Aも、緊張した面持ちでフィールドを見つめる。

一方、フィールドにいる一星は、その様子をやきもきしながら凝視していた。

「あいつら、忠告してやったのに……！」