余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ48)

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１８５　目覚め（加筆修正）ページ48

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＿翌日。

柔らかな陽射しが散らばる病室。

母親が一度席を外し、たった一人で眠り続ける少女の横に、突如一人の少年が現れた。

「……。」

小さな花を集めた可愛らしいブーケを片手に、少年は迷う事なく少女の枕元に近づく。

まるで上から眺めるようにすれば、その美しいコバルトブルーの瞳に依然として目を閉じているままの少女の顔が映った。

「……残念、まだ寝てるんだね。そろそろ起きるって聞いたんだけど」

少年は肩をすくめ、まあいいか、と呟いて微笑む。

そのままそっとデスクにブーケを置き、近くにあったメモ帳を一枚取ると、軽やかにペンを走らせた。

「余命半年の、マネージャーか……」

穏やかな沈黙の中、書き終わった小さなメモをブーケの中に忍ばせて、少年は小さく呟く。

自分の側近の娘である彼女の生い立ちを知った時、この少女はまさに自分と同じだと思った。

幼い頃から必然的に孤独を感じて育ち、そしてようやく手にした唯一の親友も、遠い国へ帰ってしまう。

寂しい気持ちを持て余してきた少年は、似たような境遇をもつ同い年の少女にとても興味をそそられた。

だからこそ、少年はこの場所に訪れたのだ。

……結局、話すことは出来なかったが。

「飛行機乗るからそろそろ行かないと。まあ、またすぐ会えるさ」

あまり長居をすると、他の誰かが入ってきてしまう。

少年は少女に声を掛けてから、再び背を向けて歩き出す。

ドアに手を掛けると少年はもう一度振り返り、美しい笑顔を浮かべた。

「Пока(またね)」

.

＿数十分後

「……あれ？」

用事を終えて病室に戻ってきた女性は、デスクに置かれた見慣れないブーケを手にとり、不思議そうに首を傾げる。

その拍子にブーケから小さなメモが落ち、女性が咄嗟に拾ってみると、見慣れない文字が並んでいた。

「これ、ロシア語……？」

……でも、どうして？

昨日の事もあって疑り深い気持ちもありつつ、とりあえず花を花瓶に生けてみれば、部屋には甘い香りが広がった。

＿自分のいない間に、誰かがここを訪れたのだろうか。

そんなことを考えたその瞬間、ベッドの軋む音が聞こえて、女性は勢いよく後ろに振り返る。

「っ、」

『あれ、お母さん』

「A！」

ベッドから身体を起こし、辺りを見回す娘に、女性は急いで駆け寄る。

長い眠りから目を覚ましたその姿は心なしかとてもすっきりとしたように見えて、女性は安堵したように微笑んだ。