余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ44)

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NO side

"もう一つ、考えなくてはならない事"

皆が疑問を抱く中、監督が頷き、ゆっくりと口を開く。

ようやく真実を受け入れ始めたイナズマジャパン。

しかし彼らには、更に選択が迫られた＿

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.

一方、時は少し遡り

「はい、ではこちらの面会カードをお持ちになって向かい側の階段を上にお願い致します」

「ありがとうございます」

＿Aが緊急入院した病院に、一人の男が現れた。

階段を半ば駆けるようにして上がり、少しだけネクタイを緩め、忙しく廊下を進むその男の額には、玉のような汗が浮かんでいる。

どうか、どうか無事で。

そんな思いと焦りを抑え、やがて目当ての名前を見つけた男はすぐにドアに手を伸ばした。

「……っ」

が、しかし男は、一度その手下ろす。

それから悩むように目を伏せ、そのまま目線を自らの胸元のオリオンの形を形どるピンバッジに移した。

「……。」

……彼女が日本代表のマネージャーをすると聞いてから、急遽日本へ戻る為に財団に掛け合い、日本に着いてからは試合の際に隙を見てベンチやフィールドにあるその姿を確認した。

そして今回も連絡を受け、居ても立っても居られず、結局主と同僚を置いたまま急いで車を走らせた。

＿しかし、未だに脳裏に残るのは、苦しげな呼吸音と、泣き叫ぶ、まだ幼い声。

自分には、このドアを開ける資格はあるのだろうか。

「……、」

男はそのまましばらく立ち尽くしていたが、意を決してその取っ手に手をかけた。

男が遠慮がちに部屋に入れば、眠る少女の枕元にいた女性が振り返り、驚いたように目を見開く。

「本当に日本に帰ってきてたんだ」

「……すまない」

バツが悪そうに目を閉じる男に、女は静かに首を横に振る。

そしてさりげなく椅子をずらし、男の視界に、ついに眠る少女が映った。

「Aっ、」

男は目に僅かに涙を浮かべ、ついには堪えていた何かを捨てて、眠る少女の元へ駆け寄った。

「A、A……」

「危ないところはもう超えて、明日には目を覚ますって」

「……良かった。ありがとう、ついててくれて」

女の言葉に、男は安心したように目を細め、何度も何度も少女の頭を優しく撫でる。

「Aが起きてたら、よかったね」

「……。ああ、そうだな」

言葉とは裏腹に、その瞬間、男の瞳に暗い影が差す。

女はそれを見逃す事なく、再び口を開いた。

「……ねえあなた、そろそろ、Aと話したらどう？」