余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ30)

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風丸side

「……。」

どこまでも続きそうな長い廊下、辺りには張り詰めた空気が流れる。

秒針がひとつ動く間さえまるで永遠のように長く感じて落ち着かず、俺はただ呆然と眩しい蛍光灯の光を見つめた。

"ごめ、んなさい……ごめんな、さい、"

……マネージャーの源が、倒れた。

サウジアラビアに勝利して本戦進出に大手がかかり、更に一星がようやく本当の仲間になった、その矢先のことだった。

"A……？"

最初に野坂が異変に気付いてから、源はたった1分ほどで意識を失った。

そして気づけば、あっという間に久遠コーチと野坂の付き添いの元で源は救急車で搬送され、今はICUで集中治療を受けている。

「源、まだ出てこないな……」

＿ふと、隣に座っていた円堂が小さく呟いた。

俺はもはや何かを考えることもできず、ただ一言、「そうだな」とだけ答える。

「……っ、」

一方で野坂は俯き、何も口にすることはない。

ただひたすら、まるで何かを考え込んでいるように眉を顰めて、目を閉じていた。

＿結局俺たちにそれ以上の言葉はなく、流石の円堂も今回ばかりはかなりショックを受けているように見えた。

……わかる。
俺だって、まだ信じきれてない。

「……。」

今、俺と野坂、円堂、監督やコーチを入れて五人がこの病院で待機している。

その他のメンバーは宿舎に留まることとなっているが、皆、源を心配する気持ちは同じで……

では何故俺はここにいるのかと言えば、本来ならば宿舎にいるところを、監督に無理を言って円堂と一緒に病院まで乗せてもらったのだ。

"監督、俺も連れて行ってください！！"

＿冷静に考えれば、キャプテンでも無い、倒れた時に源の近くにいた訳でもない、そんな俺がここに来るのは適切ではない。

ではなぜ、咄嗟にあんな言葉が出たのか……

それはどうしても説明がつかないけれど、俺はただその瞬間、とにかく源の側にいたかった。

冷静でなくなっても無理を言ってでも、源に何が起きているのかを知りたかった。

"私、マネージャーになってから、欲張りになっちゃいました。今で十分だって思ってたのに、居場所が欲しくなったんです"

＿源が、ただ明るいだけでは無いと気付いたあの夜。

思えばあの時から、俺は源をもっと知りたくなった気がする。

たとえその先にあるものが決して明るいもので無くたって良い。だから……

「！」

徐に、待合室の扉が開く。

俺たちは、同時に顔を上げた。