余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ24)

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「違う！光のせいじゃない！光がいたから、光のおかげで、俺は今までやってこれたんだ！お前ともう一度サッカーがしたくて、お前が……！っ、」

ここまで話して、"充"は言葉に詰まる。

手に持ったサッカーボールで顔を隠し、絞り出すような声で、言葉を続けた。

「お前が生きてるって、信じたくて」

"充"の目に、涙が浮かぶ。

…やっぱり、辛いなあ。

結局、おれたちは、兄弟二人で世界を生きていくことは、もう出来ないのだ。
"充"として生きれば弟はいなくなるし、同じように"光"でも、兄はこの世に存在しない。

だって、サッカーができる身体はたったひとつだけ。

思わず胸が締め付けられて泣きたくなるけど、おれはあえて笑顔を浮かべた。

「サッカーなら、いつでも一緒にできるでしょ？」

「は、」

「忘れたの？俺たちは二人で一人。二人で一つのチームだ、って。」

きっとこれからおれたちは一つになって、一人で生きていくけど……でも、おれはもう怖くない。

だって、一つになることは一人になることじゃないから。

「忘れるもんか」

"充"は涙を拭って、いつもの笑顔を浮かべる。

その笑顔を見ておれは自然と、"充"も、ひとりになるのが怖かったんだとわかった。

でも、結局は"充"もおれも、同じ「一星光」

おれは"充"の胸に、拳を当てた。

「おれはいつでもここにいる。兄ちゃんと一緒にいる！おれたちは、永遠にチームだろ！！」

「一緒に、ずっと一緒に…」

"充"は泣きそうな、でも優しい微笑みで、おれの言葉に大きく頷く。

おれもまたそれに頷き、二人で顔を見合わせた。

「「俺たちのサッカーを！！！」」

.

.

＿フィールドの景色が戻ってきた。

俺は瞬時にボールを蹴って、ゴールへとひたすらに走っていく。
もう迷いはなくて、楽しい気持ちだけがそこにあった。

ずっと、ボールを蹴っていたい。

みんなの気持ちに、応えたい。

「もらった！」

＿向かい側から走り込んできたディフェンス。

俺はタイミングを読みつつ、ボールをトラップしてから、ドリブルで相手を抜いた。

そして驚く皆の方に顔を向ける。

.

NO side

「なんだ、今の動きは！？」

先程までとはまるで違う一星の動きに、一同は驚いて彼を見つめた。

しかしその中で一人、野坂悠馬だけは、満足気に笑みを浮かべる。

「やっと会えたね……」

＿そしてベンチでもまた一人、満面の笑みを浮かべた彼女は、その名前を呼ぶ。

『一星、光君！！』