余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ21)

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１５８　サッカーの力ページ21

「強い想い……。っ、それって、サッカー」

すぐにピンと来たのか、稲森くんは息を呑んだ。

私はそれに大きく頷いて、おもむろに口を開く。

『一星兄弟は、サッカーが大好きだった……その情熱こそが、充君と光君を繋いだ想いだったんです』

"一星充"が、私に教えてくれたこと、託してくれたこと。

背負うにはあまりにも重すぎるものをたった一人で背負い続けた光くんを救うには、もうサッカーしかない。

「しかし……」

「一星君がこんな状態じゃ……」

そうは言っても、やはり周りからは口々に不安の声が上がる。

皆は今の一星くんを心配していて、だからこそ簡単に"救う"とは言えないのだ。

「……っ、」

悔しそうに顔を伏せる稲森くん。

一方、フィールドにたたない私も容易に口出しはできない。

けれど、そんな不穏な雰囲気が流れる中ただ一人だけ、声を上げた人がいた。

「よし、やろう！」

……円堂キャプテン。

彼の予想外の発言に、皆の注目が集まる。

「円堂さん！？」

「本気かよ」

「一星の面倒見ながら試合しろってのかよ」

吉良くん、灰崎くん、不動さんは口々に不安を漏らした。

きっとその三人だけじゃなくて、皆も気持ちは同じ……それでも、円堂キャプテンの意思は変わることはない。

「心配すんな。ゴールは俺が守ってみせる」

『円堂さん……！』

頼もしい言葉、私は思わずそれに大きく頷く。

そして横で苦しむ光くんに手を添え、声をかけた。

『大丈夫。サッカーなら、サッカーはきっと、一星くんを助けてくれる……』

「……っ！」

声も無くこちらを向いた一星くんに、私は微笑んでみせる。

続いて稲森くんが立ち上がって、その場の皆に声をかけた。

「そうだ！俺たちが熱い想いをこめれば、きっとサッカーは一星を助けてくれる……やろう、やろうよ、皆！！！」

「「……！」」

きっと、その言葉が響かなかった人はその場にいなかった。

そこにいる皆が皆サッカー少年で、サッカーへの想いの強さ、そしてサッカーの力を、彼らは他の誰よりも分かっていたから＿

ひとり、また一人と顔を見合わせ、悠馬も大きく頷く。

「明日人の言う通りだ。俺たちは、一星を助けて試合にも勝つ！

さあ皆…‥後半戦も、行くぞ！！！」

＿響き渡る円堂キャプテンの声。

そこにいる皆が決意をし、ついに、命運をかけた後半戦が始まった。