余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ18)

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１５５　嘘ページ18

「僕のことは守ってくれたじゃないか」

一星くんの自分を責める言葉を遮るように、そう言って悠馬は微笑む。

一方で一星くんは顔を伏せ、ぽつりと呟くように言葉を漏らした。

「俺にはできなかった……サッカーで、命を奪うなんて……、っ、」

「安心して。僕の頭が危険だという話は、君を惑わすための嘘だから。」

……あー嘘ね、うん、嘘……

……ん？

「えっ……」

『えっ！？』

悠馬が笑顔で平然と言い放ったその衝撃の事実、私は思わず一星くんと同時に声を上げる。

……頭が危ないっていうのが、そもそも嘘だったってこと！？

「「えええっ！？」」

驚いたのは私達だけでは無く周りも一緒で、そこにいる全員がほぼ私と同じような反応をする。

悠馬はその笑顔のまま、言葉を続けた。

「僕の身体に何も問題は無いよ。それに、それでも君が僕を守ってくれたことに変わりはない……ありがとう、一星くん。」

"ありがとう"、という悠馬の言葉に、私はそうか、と小さく呟く。

悠馬の言う通り……たとえ頭の話が嘘でも、一星君は確かにあの瞬間自分で決断して、自分でボールを蹴り返した。

オリオンにも、悪に染まるほどの決意をも超えて、立ち上がる道を選んだ。

「野坂……」

「一星、何やってんだよ。」

「え、」

続いて、声を上げたのは稲森くんだ。

稲森君は、プレイを見れば一星くんは悪い人では無いとわかること、そしてどうして自分達に何も話してくれないのか、と問いかける。

＿それから堰を切ったように、チームの他の皆も声を上げはじめた。

「弟が病気なんだよな。で、手術代を工面してもらうためにオリオンに従っている……そうだよな？」

そう話を切り出した吉良くんは、自分が父に頼んで手術代を借りることを提案する。

突然見えた希望に戸惑う一星くんに、続いてタツヤさんがFFIで優勝することで賞金が出て、それで手術のお金は返済できるといった説明をした。

「それに、俺たちなら絶対優勝できる……そう思わねえか？」

『吉良くん』

思わず、私は目を見開く。

……あんなに、一星くんを嫌って、怒っていたのに。

今彼は一星くんを理解し、仲間として助けようとしている。

うんん、きっと彼だけじゃない。皆が。

これなら一星くん、いや、光くんも……

「……待ってくれないか、ヒロトくん。」

「あ？」

「その必要は、あるのかな」

一見、見当違いな悠馬の言葉。

私はついにこの時が来たのだと、身構えた。