余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ12)

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１４９　本当のキーパーソンページ12

「無能だとは聞いていたがここまでとはな」

「この役立たずが」

「……っ」

どつかれても、心無い言葉をかけられても、言い返すことも出来ない。

……光のために、ここまでやってきたのに。

今はただ混乱していて、自分が置かれた状況でさえどこか他人事のようだった。

「何やってんだ……俺……」

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Aside

＿試合時間前半もついに半分を切る。

日本から思わぬ形で点を奪われたからか、サウジアラビアは先程とは比べ物にならない動きを見せ、日本を圧倒していた。

「ふう、今のはなかなか危なかった……」

『そ、そうですね』

今も、空中で繰り広げられたプレーでゴール前に切り込まれバーニング火の鳥を打ち込まれてしまった。

円堂さんが風神雷神でギリギリ止めたけれど、実際一ミリも油断できない状況だ。

「よーしっ、俺たちも熱くいっけー！」

円堂さんから、再び日本ボールで試合スタート。

早速高さでボールを取られてしまったものの、悠馬がそれを取り返し、真っ直ぐと前を向いた。

『あっ』

……そうだ、今回の作戦の本当のキーパーソン。

私は悠馬と話したことを思い出し、その人物を目で追う。

(……よし、今フリーだ！！)

悠馬もきっと、考えていたことは一緒。

そして、パスされたボールは……

稲森くんに渡った。

「稲森一気に抜いていくっ！」

一人を交わし、ゴールまで走っていく稲森くん。

私は、誰にも聞こえないように小さく呟いた。

『稲森くんなら、きっと、一星くんを変えてくれる』

稲森明日人……彼は、底抜けに明るい。

まるで眩しい太陽のようで、みんなに大きな影響を与える才能を持ってる。

そして何より彼は、どんな状況でも、ずっとずっと、一星くんを誰よりも信じ続けていた。

それもただまっすぐに、純粋に。

だから、そんな彼なら、きっと……

「稲森、チャンスだー！！」

「……一星！」

……稲森くんから一星くんへ。

彼の信頼と優しさ、いろんな想いがこもったボールが渡った。

『よしっ……あっ、っ、』

私はつい声を上げて喜んでしまい、急いで口を抑える。

周りといえば、なぜ裏切り者にボールを回したのかと呆然としていた為、一人喜んでしまった私には誰も気づかなかった。

私は何もなかったかのように装い、一星くんを目で追う。

「……！？」

ボールを受け取った一星くんは一瞬かなり驚いた顔をした。

しかしすぐに、走りだす。