余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ2)

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風丸side

「風丸さん！次のサウジアラビア戦のディフェンスなんですけど……」

「……ああ、そうだな。やっぱりここはサイドを固めるか」

昼下がり、眩しい陽光が練習場に差し込む。

所々で走る皆の声が響く中、俺たちディフェンダーも全員で意見を交わし、試合中の方針を話し合っていた。

＿サウジアラビアとの試合までは、あと一日。

いよいよ世界大会出場に大手がかかり、今日は皆、より一層練習に力が入っているように感じる。

ただ、俺といえば……

「……。」

「風丸さん？」

「……あ、いや。何でもないさ」

そう、俺はといえば。

正直……あまり練習に集中出来ていないと思う。

「大丈夫ですか？」

「ああ。すまない」

……試合はもう明日だ。

絶対に負けられない戦い、この練習で最後の調整を完璧にしなければならない。

でも、どうしても、彼女を目で追ってしまう。

「……源」

"ちょっと喋りすぎちゃいました。忘れちゃってください"

＿脳裏に焼き付いて離れない、源の苦しそうな表情。

あの日から、源とは一度も話せていない。

……というか、多分、避けられてしまっている。

例えば、野坂に頼まれた役の為の痛がる練習の時。

源は俺と目を合わすこともなく、すぐに吹雪のところへ行ってしまった。

……正直、あれはかなりショックだった。

(まあ、無理に話そうとは思わないが……)

"風丸さん！"

"おっ！どうした、源？"

マネージャーの中でも、よく話すのはやはり源だった。

源は俺のことを頼ってくれていたと感じていたし、俺も心のどこかで源が頼ってくれるのを期待していたと思う。

元気で、明るくて、でもどこかその目はいつも不安げで、まるで迷子のようで……そんな彼女を、俺はなぜか放っておけなかった。

でも、今はどうだろう。

『あ、悠馬ー！ちょっと良い？』

「どうしたの、A」

……まただ。

また、源と野坂が一緒にいる。

「……。」

ウズベキスタン戦が終わってから、源と野坂はいつも一緒にいるようになった。

食事も、練習以外の時も、見れば必ず二人は近くにいて、何か話し込んでいるような時もある。

……勿論、二人は幼馴染で親しいし、何らかの目的を持って動いているのはなんとなく分かっていた。

でも、皆のしている噂を聞いた時、源が野坂に笑顔を向ける時……

俺の心のどこかが痛んで、ざわつく。

もっと俺を頼ってほしい。また、その笑顔を向けてほしい。
そう、思ってしまうのだ。