・ ページ22
それから、気分はかなり落ち込んでいたが、残り少ないAとの時間、少しでも有意義に過ごしたくて、話を変えた。
それで、昨日から目についていた、簪について触れた。
俺が何度言っても、壊したくないの一点張りで一度もつけた姿を見せてくれなかったので、素直に嬉しかった。
あんなモン、俺が持ってても使えねぇし、あいつが着けてくれるなら、簪も、本望だろう。
すると、何か思い出したかのように、一昨日会った餓鬼の話を始めた。どうやら、俺の知人らしい。
『14、5歳の男の子で、、』
へぇ、玄弥と丁度同じくらいか。
『顔に傷がある男の子。』
玄弥も、あの時の傷、残っただろうな。
ふと浮かぶのは玄弥。
だが、それだけの情報で特定するのは無理だろう。
そもそも何故、俺の知り合いだと思ったのか、理由を問うた。
『私が後ろ向いたら引き止められて。』
その餓鬼、後ろ姿で何に気づいたんだよ。
普通、正面から顔見てなんか気づくだろ。
後ろつったって、何が…
簪
本当に、玄弥なのか?
この世で、あの簪に見覚えのある人間は、玄弥しかいねぇ。
玄弥…
『自己紹介して、【不死川実弥という人を知りませんか。】って聞かれました。」
『同僚だと、答えました。』
いや、大丈夫だ。
俺の存在を知っても、俺とこいつが同僚だと知っても、こちらの世界には来られねぇ。
鬼という存在さえ、鬼殺隊という存在さえ、知らなければ。
「テメェ!鬼殺隊について、話したか!!」
頼む、話してないと、言ってくれ。
『え、、、はい。』
っ!
クソ、言ったのか。
玄弥が鬼の存在を知った。
このまま俺は母親殺しのまま、恨まれていればいいのに。
玄弥は優しい奴だから、鬼の存在を知ったら、必ず、此処に来る。
鬼殺隊に入る。
『し、師範?』
A。
「テメェ、もう帰れ。」
すまねぇが、今はお前と冷静に話せねぇ。
『え、でも。』
「帰れ!!」
…Aが息を飲んだのがわかった。
ごめんな、俺たち兄弟の問題に巻き込んじまって。
「すみません。」
Aがそう、小さく呟いたのを、俺の耳は聞き逃さなかった。
お前が謝る必要は微塵もない。
お前は何も悪くないのに、本当にすまない。
玄弥。
頼むから、こっちに来るな。
玄弥、、、A、、、
「クソがっ!!」
俺は一度だけ、畳に拳を打ち付けた。
168人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
タコ(プロフ) - 三隣亡さん» ありがとうございます笑何か面白い酔っぱらい方無いかな〜と考えたらふと思い浮かんで書いちゃいました笑笑シリアス多めなので、たまにクスッと笑える所があれば、と思って、、、笑これからも頑張っていきます! (2020年11月12日 1時) (レス) id: 33d5abc94b (このIDを非表示/違反報告)
タコ(プロフ) - snowさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2020年11月12日 1時) (レス) id: 33d5abc94b (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - 不死川さん、酒めっちゃ飲んだはずやのにおはぎバク食いしてるのオモロイwwwこれからも頑張ってください! (2020年11月11日 0時) (レス) id: 458cbba993 (このIDを非表示/違反報告)
snow - タコさん» 更新待ってました!これからも応援してます!頑張ってください!! (2020年11月10日 21時) (レス) id: 6289ae6079 (このIDを非表示/違反報告)
タコ(プロフ) - snowさん» こんなにも暖かいコメントありがとうございます!最近あまりコメント無くて寂しかったのですが、snow様のおかげでまた自信を持てました!本当にありがとうございます!ご期待に添えるようこれからも努力して参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年11月8日 22時) (レス) id: 33d5abc94b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:タコ | 作成日時:2020年9月22日 10時