めげないしょげない諦めない何があっても泣いちゃダメ19 ページ19
待ってめっちゃ走ってきてんだけど。
ズシャアッ
あ、転けたな。音でわかるさ、これは確実に転けた音だ。
因みにこんなドジする人1人しか居ない。
平安貴族の服装をしている癖にそれっぽい事に疎い、よく言えば天然で悪く言えばドジの加茂家次代当主の加茂さんである。
あの人どんな気持ちであの服着ているのだろうか。
いや今はそんな事どうでも良くてですね、先程加茂さんと思われる人が『えっ』て言って走ってきたわけですよ。んで転けたけど、彼はとにかく急いでる訳です。多分。
そして真依さんの会話からわかるように、私が待機させられているこの部屋は確実に加茂さんの部屋な訳です。
そしてこの部屋からはこれまたつい先程私の写真が死ぬ程出てきたのです。
極めつけは三輪ちゃんの会話からわかる通り三輪ちゃんと真依さんと加茂さんはグルだ。
結論:詰んだ
このままでは私は加茂さんの部屋に泊まることになる。三輪ちゃんや真依さんの部屋に泊まりたいと要望を出しても『じゃあ狗巻先輩と同じ部屋に』という流れになるに違いない。
逆に狗巻先輩を加茂さんや東堂君の部屋へというのも却下されるであろう。何故なら向こうはチーム組んでるからね。
私は静かに部屋の中に戻った。
私は知っている。こういう時どうすれば1番賢いかを。
何も知らない振りをするのだ。そうすれば意外と何とかなる。
私はひとつ深呼吸して床に座った。大丈夫。何とかなるから。
ドタドタとうるさい音を立てて廊下を誰かが走ってきたが恐らく転けた加茂さんがまた走り出したのだろう。
そしてすぐに
ダンッ
部屋の扉が勢いよく開いた。
開いた扉の先には予想通り加茂さんが息をきらせて立っていて今日も目を閉じているのか薄いのかよく分からん顔をしている。
「ご無沙汰してます加茂さん。随分急いでいらっしゃいますね。何かお困り事でも?」
私は実は加茂さんとあまり話したことが無い。決して仲が険悪な訳では無い。京都校と東京校はそれなりに交流の機会はあるし、生徒同士が個人的な話をすることもよくある。だが私と加茂さんは不思議な事に、なかなか会話が弾まないので自然に話す事も無くなる。
その為加茂さんとの距離感がわからずいつも敬語になってしまうのだ。
『いや別に何でもな…あっ…』
急に加茂さんの声が途切れた。顔を見ると目はやはり開いていないが、一点を見つめている。
何事かと見つめている場所を見てみると、あの引き出しが開いていた。
『見たのか』
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善良(ぜんら)(プロフ) - 続編公開しました (2022年5月14日 18時) (レス) id: 130d797b81 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅 - 続編のパスワード教えて貰えませんか? (2022年3月21日 16時) (レス) id: f998eec890 (このIDを非表示/違反報告)
友希那(すぐるっちの恋人) - 続編パスワード教えてくれませんか? (2022年1月31日 22時) (レス) @page27 id: 63dcc81372 (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - すみません、続編のパスワード教えて貰えませんか、? (2022年1月28日 20時) (レス) @page27 id: 7f38ffe42c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - まだ更新しておりますか? (2022年1月2日 22時) (レス) id: cfba35088c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木の木 | 作成日時:2021年3月25日 16時