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伊「お客です!」
伊野尾が急いでそう言うと、
何してんの?という呆れた視線を俺に向けた。
?「そうですよね!すぐに開けますね!」
店主は大袈裟に納得した振りをし、さっさと店の中へ入っていった。
山「いや、だってそっくりだったから…大ちゃんに。」
伊「俺も、思った。」
?「お店の中で待っててくださいねー」
その声が聞こえ言われたとおりに店内へ入っていった。
ショーケースには色鮮やかな、たくさんのケーキが並んでいた。
伊「変な行動起こさない方がいいよ。あの男性は大ちゃんじゃないよ。
ほら、
ドッペルゲンガーだよ」
山「うん…」
伊「…にしてもあの小鳥たち、とっても綺麗な色でしたねぇ、すごいなぁ」
?「今日は天気がよくて。呼ぶと来てくれるんです。」
いのちゃんは先程までの驚きなんてなかったのように平気で振舞っている。
まるで、普通の1人の明るい客のように。
伊「僕達が来ちゃったせいで逃がしてしまって、」
?「いいんですよ!あの小鳥たちも臆病なんですよ。僕に似て。
あ、ケーキは決まりました?」
首を傾げながらにこにこと訪ねてくる店主は、その姿からも似すぎていて、もはや恐怖を覚えた。
伊「どれも美味しそーだなー」
?「チョコレート系でしたらこちらのザッハトルテやロッシェが人気ですよ」
伊「へー山田は?」
いのちゃんは気づかれないように俺の足を蹴り、ぼーっとする俺のことを横目で気にしている。
?「お連れ様はどうされますか?」
やっぱり我慢できない。だって笑った顔さえそっくりだもん。
山「あの、お名前お聞きしてもいいですか?」
言ってしまった。
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作者名:まる | 作成日時:2019年8月24日 12時