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あいつには何か特別な力があるのか？
俺らには言えないことなのか？
人間ですらないとかか？
姿形も人間だよな？
なんてオカルト紛いな妄想をしている間際、
｢夢に出てきたこと、言っちゃえば？｣
｢会ったばっかの相手にそんなこと言う？｣
｢ははっ相変わらず山田は臆病だ！｣
山｢おい。笑うんじゃねぇよ。｣
へらへら笑って去っていく彼に低い声で呟いた。咄嗟の言動に自分でも驚いた。こんなにイラついた理由はたった一つ、図星だったからだ。
"俺の臆病者"
学生の頃、俺は大ちゃんに告白しようとした。彼が好きという気持ちは抑えられなかった。
カレンダーを眺めて、大ちゃんの誕生日に告白をしようか、悩んだ。
結局告白の日はあの事件の3日後の放課後と決めていた。
俺の初恋は無惨なものに終わった。
胸が締め付けられたのではない、抉られるような痛みや気持ち悪さを感じた。
早く思いを伝えるべきだった。
そうして俺の一生の後悔は胸に刻まれた。それにいのちゃんだって俺と同じ恋心を持っていたはずだ。
なんでそれを思い出させるんだ。
俺の頭の中で何かがﾌﾟﾂﾝと切れる感覚。
去り際のいのちゃんの腕を掴む。
｢おい待てよ…勇気がなかったのは一緒だろ｣
｢ふふっ｣
｢そっちだって大ちゃんのこと好きだったくせに！｣
気づいたら制御出来なくなっていた。
｢あの…｣
山｢何？今話してんだけど｣
ケーキの乗ったプレートを持ったまま目を真ん丸にし
て立ち尽くす有岡さんの姿
見られた…
｢ごめんねうるさかったよね。｣
いのちゃんは何事も無かったかのような表情をして手を払い除け、席に着いた。
｢ブッシュドノエルです…｣
有岡さんの声は震えていた。
口を開いたのはいのちゃんだった。
｢山田は勘違いしてる｣
｢勘違い？｣
｢うん。今から話すこと聞いて欲しい。｣
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作者名：まる | 作成日時：2019年8月24日 12時
