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12月を迎えた。
森の中での有岡さんとの出会いから2週間が経った。
「はぁ、今日も疲れた…お疲れ俺ぇ」
目の前のソファに倒れ込む。
夕飯も作る余裕もなく、疲れて寝る日々。
20代で重大な役割について、
同僚からの執拗な嫉妬
上司から注がれる重圧
山田なら出来る…
山田なら大丈夫だ…
こんな日々が今はストレスでしかない。
でも目を閉じれば必ず朝がやってきて、
俺は仕事に行かなければいけない。
でも耐えないといけないよね。
また明日も仕事か、と憂鬱な気分で目を瞑る。
___おい山田、寝てるの?笑
"あぁ…大ちゃ…"
違う、有岡さんだ。大ちゃんはもうこの世界にいない。
全身がふわふわする感覚、二日酔いしたみたいな気分。俺は夢を見ているのだろうか
何だこの気持ち悪い感覚、眉間にシワを寄せて眩しい光に耐えていた。
"有岡さん……どうかしたの?"
有岡さんの顔がみるみる笑顔を失っていく…
"今、自分のこと捨てようとしてる?"
"え、有岡さん。俺、そんなこと考えてないよ"
"嘘。ダメだよ?ほら、また目が虚ろになってるから心配したじゃない。"
ふたたび眩しい光が差す。一瞬で目の前が真っ白に広がり現実世界に戻された。
とうとう疲れすぎて頭がおかしくなったのかな。風呂入ってベッドで寝るか。
湯船に浸かりながら先程の夢を思い出した。
そういや有岡さんのこと考えてる余裕もなかったよなぁ。
夢の中だけど久しぶりに有岡さんに会えた感覚だ。なんだかほっこりした。
この仕事が終わったらもう一度行ってみようかな。あのカフェに。
「もしもし、俺だけど。うん、元気だよ。
いのちゃんさ、今週末空いてる?」
たとえいのちゃんが無理でも、ひとりきりだとしても行きたい。なぜだろう、夢の中で見ただけなのに無性に会いたくなった。
いのちゃんが一回会って予定を立てようと言った。木曜日に会おうと約束して電話を切った。
「じゃあ木曜日、駅前の喫茶店で。ばいばい。」
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作者名:まる | 作成日時:2019年8月24日 12時