Bonbons d'ange【ymar】 (ページ23)

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･Le lendemain ページ23

外に出るとあたりは真っ暗だった。

伊｢さっむ、｣

来た時は明るかったのに外は暗くて寒い。

ヒューヒューと音のなる樹林。

一言で言うなら不気味。

いのちゃん曰く、10分で森の外に出られるよぉ、とか言うけど信じていいのか？

伊｢昔話すんのも悪くないね｣

そう言いながら彼は振り向いた。ニヤリと笑みを浮かべた。

山『前見て歩けよ、危ねぇだろが』

ー待っていてくださいー

俺は帰り際に、流れでそんなこと言っちゃったけど、なんであんなこと言ったんだろ俺。

そんなことを考えながら足場の悪い道をただひたすら進んだ。

伊「あの店、また同じところにあるとは限らないよ？どうすんの？次きた時は無いかもね。」

前を歩くいのちゃんが再び口を開いた。

その通り。次きた時は無いかもしれない。

なんで俺はあの時また来ますなんて言ったんだろ。

しかもなんの保障もなく。俺って馬鹿だな全く…

山｢確かにね、無いかも笑｣

結局遠い記憶だけ掘り返して終わった。

取材しに来たんだよね…？

昔のこと話してばっかで聞くの忘れてた

山｢あ、やべ｣

伊「そーだよ、やっと気づいたの？」

そう言っていのちゃんは楽しそうにニヤリと微笑んだ。

やばいな。何も掴めていない。情報量ゼロ。

上司に怒られるどころの騒ぎじゃないぞこれ。

もう1回戻るか？それはないか。

いつの間にか森を抜けていて辺りが明るくなっていた。

伊「やっと着いた。お腹すいたなー、どうよ1杯…」

山「ごめんねいのちゃん！また今度な！」

なんだよーって不服そうな頬を膨らませたあいつをよそに、タクシーを止めて帰った。

山『すいません、東京まで。』

ほんと辺りにはコンビニもなければ住宅地もない。ほんとド田舎。

しかしあの店があるとなると話は別だ。絶対にまた来よう、

遠い記憶が蘇った今日。俺が失ったのはきっと大ちゃんだけじゃない。あの頃の自分もきっと俺の中でいなくなっているんだ。

こんなに必死になっているのはきっとあの頃の青春を取り戻そうとしてるからなのかな。

将来なんて考えてない、我武者羅に生きていた時代に戻りたい、と微かに思ってるんだ。