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有「…そんなことがあったんですか。」
伊「あったねー、そんなことも。」
山「すいません、長くなりました。」
有「僕も役に立ちたいです。」
ああ、そっくりだ。かつての大ちゃんの目に。真剣で嘘をつかない目。でもどこか優しくていつも俺を包み込んでくれるんだ。
山「…迷惑ですよそんな。」
有「迷惑なんかじゃありません。僕がしたいことなんです。」
手をとってふわっと笑って見せる。優しい笑顔。大ちゃん…大ちゃんみたいだ…
あの時、沢山悩みを聞いてくれた。最後にはお前はそのままでいいんだ、って微笑んでくれるんだ。
優しくて優しくて、なんでも受け止めてくれた。俺はそんな大ちゃんにいつの間にか惚れていた。大ちゃんがいなくなってから気づいたことだけど。
有「あの…手が。」
山「あ、あ、すいません!何やってんだろ俺ほんと… 」
伊「なにやってんの?」
俺の手を叩く。
山「うるさいな」
山「あの、有岡さん、来てもいいですか。また」
有「もちろんです」
伊「ふーん?」
不満げないのちゃんは俺を見ながらそう言う。いのちゃんも大ちゃんのこと好きだったっけ。2人でなんだかんだ取り合ってたのを思い出す。
伊「毎日お昼一緒に食べて2人して勉強教えて。ほんと困った子だよ大ちゃんは。」
悲しい思い出だと思って今まで閉まっておいたけど、楽しい思い出も沢山あった。
有岡さんは相変わらず頭の上にはてなマークだったけど。
ーお店がどこにあろうと、また絶対に会いに行きます。会いに行ってみせます。
それが今の俺に出来ることだから。
山「待っていてください」
そう言ってお店を後にした。
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作者名:まる | 作成日時:2019年8月24日 12時