9 ページ9
.
《…永瀬様ですか?こちらへどうぞ、》
タクシーを拾ってAと2人で乗り込んで、
病院に向かったらすぐ病室へ通された。
何だか嫌な予感がして、
Aの手をぎゅっと強く握りしめれば、Aも強く握り返してくれた。
.
『…大丈夫だよ、廉』
彼女の言葉通り、大丈夫だと言い聞かせて。
.
病室のドアを開けて
そこに見えたのは、ただ眠っているように見える母の姿やった。
.
廉「…おかん、?」
近づいてそっと母親の顔を触ると冷たくて。
身体中が氷つくような、そんな感覚がした。
《トラックにぶつかられて、その衝撃で永瀬様は…》
医者が何か言ってる、
その声さえ上手く耳に入ってこない。
ただ母親の冷たくなった体温で、全ての状況を把握できることが辛くて、怖かった。
…あぁ、死んだんやなって、心では冷静なのに
頭が追いつかんくて。
.
廉「…おかん、っ、…」
高校生になって、こんなにも泣いたことあったかってくらい、崩れおちて、ただただ泣いた。
仕事人間であまり家にいない親父に変わって、
ずっと傍で優しく、厳しく育ててくれたのに
俺にとってたった1人の、母親やったんに。
.
泣き崩れて何も考えられない頭の中で、
ただ1つだけ感じていたのは、俺の手を強く握りしめて静かに涙を流す、Aの温かい体温のぬくもりだけやった。
.
723人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななせ(プロフ) - ななみさん» 嬉しいです!!これからもっと面白く出来るように頑張ります! (2020年4月18日 20時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - はじめまして。読みはじめてから、どんどん話に引き込まれて、ここまで一気に読ませて頂きました。先が気になります!更新楽しみにお待ちしております。 (2020年4月18日 20時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - かほさん» 嬉しすぎます、、!これからもう少しだけ重くなる予感がするんですけどお楽しみにしていてください!笑 (2020年4月13日 22時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - ふーみんさん» 全話読んでくださってありがとうございます!これからもお楽しみに!(^ ^) (2020年4月13日 22時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 初めて読みましたが非常に面白いです!こういう重いの大好きです!(笑)これからも楽しみにしております〜〜 (2020年4月13日 17時) (レス) id: 43e673b672 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ななせ | 作成日時:2020年2月8日 19時