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間もなくして、季節は夏になって
もうすぐ高2の夏休みが始まる。
廉「…暑いな今日も。なんかアイス食って帰ろーや」
『それな買ってこ!あ、もちろん廉の奢りね』
廉「は?なんでやねんそこはじゃんけんやろ」
付き合い始めて1ヶ月。
彼女は前よりも俺といる時間を多くしてくれた。
やからと言って、別に変わったことは何も無くて
他愛もない会話をして、一緒に登下校して
たまーに2人で出かけて。
廉「…ん!このアイス上手いで、食ってみ」
『えほんとだ!美味しいこれ私の好きな味!
廉もう一口!!』
廉「いやですー」
…物足りない訳じゃない。
君の心が俺に向いていないことくらいわかっとるから、これ以上の高望みはしないはずやった。
でも、間接キスをしても少しも顔を赤らめる様子もないAを見てると、どうしても幼馴染としてしか未だに見られていないことに、急に悲しくなる。
きっとこれが優太やったら、顔赤くすんねやろ?
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人間はやっぱり、欲張りなもので。
君が傍にいてくれさえすればいい、
付き合っているという形だけあればいいと思っていたはずなのに。
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廉「…来週のさ、花火大会。…2人で行こ、」
アイスを食べ終わって、宙ぶらりんになった彼女の手に、俺の指を絡めた。
驚いた顔で俺を見る彼女に、
なんだか無性に自分がしてることに恥ずかしくなってもうて。
…でも、やっと繋げた手を離すことはしたくなくて。
ギュッと手を握る力を強めれば、
彼女もギュッと握り返してくれた。
『…うん、行きたい。私も廉と、2人で』
幸せってこういうことを言うんやと思った。
この指先から、君が好きだという俺の重たく歪んだ気持ちが全部、伝わってしまえばいいのに、と思った。
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ななせ(プロフ) - ななみさん» 嬉しいです!!これからもっと面白く出来るように頑張ります! (2020年4月18日 20時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - はじめまして。読みはじめてから、どんどん話に引き込まれて、ここまで一気に読ませて頂きました。先が気になります!更新楽しみにお待ちしております。 (2020年4月18日 20時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - かほさん» 嬉しすぎます、、!これからもう少しだけ重くなる予感がするんですけどお楽しみにしていてください!笑 (2020年4月13日 22時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - ふーみんさん» 全話読んでくださってありがとうございます!これからもお楽しみに!(^ ^) (2020年4月13日 22時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 初めて読みましたが非常に面白いです!こういう重いの大好きです!(笑)これからも楽しみにしております〜〜 (2020年4月13日 17時) (レス) id: 43e673b672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななせ | 作成日時:2020年2月8日 19時