君想い～短編集～ 2 (ページ9)

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俺達は高校一年生の時から付き合っている。

こんなことを言うのは悪いが……バレーの邪魔さえしなければいい、そう思っていた。
土日の練習には毎回弁当を用意してくれて、日を重ねる度に美味しくなっていったし、栄養素に気を使ってくれていた。

一緒に帰る時、無言かバレーの話の二択の俺に付き合って、いつもいつもバレーの話を聞いてくれた。

病気になって入院して、情けない話だがやっと、Aがそばにいない事の寂しさや虚しさに気づけた気がする。

俺がバレーを頑張る理由の一つだ。

いつの間にか、彼女にまとわりつく病気が、俺のバレーの邪魔になっていた。

A「願いが叶うならね、若利くんに先に死んでもらいたいの。

若利くんの負け試合、見たくないもん。」

牛島「…俺は簡単に負けたりしない。」

A「だってさ、90歳になっても、高校生に勝てると思う？」

牛島「うむ…それはムリだ。」

俺が90までバレーを続けることになっているのが面白い。
Aはいつも俺を驚かせるような発想をする。

A「私の事なんか気にしないで、練習行ってきてよね。」

その言葉が妙に病室に響いて、なんだか怖かった。

上手く返事ができない俺を見て眉を下げて笑いながら、

「バスの時間だよ。」

と呟く。

俺はそのバスに乗ってしまった。