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さきにいってー牛島若利 ページ8

A「次はいつ来てくれるの?」


牛島「試合明けだな。」


A「じゃあまた、天童くんに動画頼まなきゃ。」







牛島「直接、見に来ればいい。」



蒸し暑い病室に生ぬるい空気が入ってくる。
薬を飲み終えたAが、苦しそうに目を瞑って枕に頭を沈める。

直接見に来ることが出来ないことなど、俺は分かっている。
だが、希望を捨てないで欲しいが故に俺なりに前向きな言葉をかけているつもりだ。


牛島「クスリ、付いているぞ。」


親指でそっと粉薬を拭いとってやれば、期待したように目を瞑る。
頬を赤く染めたAは、病人であるため熱を帯びているように見えて心配になる。

それでも欲を抑えきれず、柔らかな唇にそっとキスをする。



A「病院だよ、若利くん。」


牛島「見られなければいいさ。」


A「若利くんらしくないね?あ、バスの時間だよ。」







牛島「恋人に触れるためなら、ちょっとしたスリルだって怖くない。バスに乗りくれるのだってな。」



看護師「牛島くん、またバス乗り遅れたの〜?」


本当は、この次のバスなんてないんだ。



今日もまた、走り込みをして帰ろう。




A「あ、今度バレーボール持ってきてよ。」


牛島「外の菌がたくさんだぞ。」


A「若利くんだってそうだよ。」


牛島「手は洗ってるし消毒もしてるから、勘弁してくれ。」

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作者名:七蛍 | 作成日時:2019年7月24日 23時

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