陰キャ幼なじみを可愛くしてしまった【桃】

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さとみside

俺には一つだけ、誰にも言えない秘密がある

家族以外は誰も知らない秘密だ

それは、俺が可愛いもの好きだということ

俺の部屋は、可愛らしいぬいぐるみで埋め尽くされていた

犬や猫はもちろん、キャラ物も沢山ある

ほとんどが、クレーンゲームで取ったものだ

中学生の時、よくAとゲーセンに行って、出禁になるレベルで物を取りまくってたなぁ…

あの頃を思い出しながら、お気に入りのもちもちな猫を抱く


人生初の寄り道

ドキドキしながら、Aと一緒にゲーセンに入ったことを思い出す

このゆるんとしたお団子型の猫は、その時にAが取ったやつだ

また、Aと行けたらいいな…

そう思うけど、きっと叶わないんだろう

俺とAとは、今ではもう、ほぼ関わりがなくなっている

お隣さんとして、お裾分けを少しするくらいだ


もちろん、俺とAの関係が薄くなったのには、理由がある

俺が高校を機に、陽キャ層に入ったからだ

それまでは、俗に言う「陰キャ」な友達を中心に関わっていた

そっちの方が話が合うし、楽しかったから

でも俺は、少しでいいから変わろうと思った

新しい友達を作り、新しい世界を見てみたかった

結果、高校デビューを果たせたのだが…

正直言って、Aと話せなくなったのは寂しい

何かしら、Aの繋がりができたらいいんだけどな…

俺は黙って、ベッドに横たわった

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