永瀬くんの非リア脱出講座！ (ページ48)

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「永瀬くん、ちょっと今教室出れる？」

教室に入ってすぐ、私は永瀬くんにそう言った。

「うん、いけるで」

いつも通りの永瀬くんの世慣れた関西弁が、いつもより落ち着いて大きく聞こえる。
落ち着いて聞こえるのは、たぶん私がドキドキしてるから。

教室の後ろの方を見ると、陽奈とゆっきーが私に手を振っていた。
2人とも目が合うと、「いけいけ！」っていう風に手を小さく動かして応援してくれる。
私は、ありがとうの気持ちを込めて笑顔で2人に頷いて、永瀬くんを連れて教室を出た。

やってきたのは、2回のテラスだ。
お昼休みには人でいっぱいになる人気のスポットだが、朝に人がいることはあまりない。
今日も、やはりそうだったから一安心した。

「永瀬くんさ…」

私が途切れ途切れに喋っていても、永瀬くんは優しくうんうんと頷きながら聞いていてくれる。

「私、…永瀬くんのこと好きです」

そう言いながら、永瀬くんにトリュフの入った小さい箱を渡す。

ついに言った。言ってしまった。
もう後戻りは出来ない。

「俺もさ、髙橋、…いや、Aのこと好き」

箱を受け取った永瀬くんがいきなりそう言うから、思わず驚いてしまう。

「モテモテマイスターってやっとったやん、俺。あれ、実はな、Aのこと好きやから、付き合いたいから応募して無理やり入れてもらってん。初めてAのこと見たとき、地味やけどめっちゃ可愛いな、って思って。俺も好きです。付き合ってください」

そう真剣に言う永瀬くんはいつもよりももっとかっこよくて。

「はい！もちろんです！」

私はそう返事した。

「ありがとう」

永瀬くんはそう言って、私の唇に唇を重ねた。

「これで3回目のキスかぁ」

永瀬くんがそう感慨深く言う。
それが何かおかしくて。

「もう、永瀬くんの変態(笑)」

「変態とか失礼やなぁ(笑)」

そんなバカな話が出来る気楽な関係。
私たちにはそれが1番ベストなのかも。

「ホワイトデーのお返しは俺でどうや？」

なんて言う永瀬くん、じゃなくて廉に思いっきり

「ばか(笑)」

って言い返す。

その「ばか」に込められた気持ちは「大好き」なんだっていうことは内緒にしておこうかな。

本当に廉くんのこと、
大好きです。

～おわり～