永瀬くんの非リア脱出講座！ (ページ26)

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「わぁ～、美味しそう♪」
私は目の前のオムライスを見ながらそう言う。

あの後、本屋さんで一緒に雑誌を立ち読みしたり、洋服をウインドウショッピングしながら店内を歩いたりした。
そして、お昼の時間になったので、フードコートに行って最近話題のオムライス店のオムライスを注文したのである。

ふわふわした半熟卵は口の中に入れるとすぐにとろけていくし、チキンライスは鶏肉ゃトマトの旨味がしっかり凝縮されていてとても美味しい。
卵の上からかかっているケチャップも自家製のものだと話題になっていたはずだ。

向かい合ってデミグラスソースがかかっているオムライスを食べている永瀬くんも、結構満足そうな笑みを浮かべながら大口でオムライスを頬張っている。
その様子を見ていると、意外と子どもっぽくて可愛いな、なんて思ってしまう。
勇太は私よりもしっかりしていて、子どもっぽいところはあんまりないから、何だか新鮮でついつい見入ってしまう。

「人が食べてるところあんまり見んなよ。喉詰まりそうになるやろ。1口ほしいんやったらやるわ」

そう言って、永瀬くんは自分のスプーンに乗せたオムライスを私の口に運ぶ。
不器用なスプーン使いで口に入れてくるものだから、口の端に思いっきりデミグラスソースがついてしまう。

「も～、めっちゃついちゃったじゃん(笑)」

「ごめんって(笑) でも、美味いやろ？」

なんてカップルどうしみたいな会話が自然と成立する。

「あー、Aみたいな子捕まえられたら俺も幸せになれんのかな～」

そうふざけながら言う永瀬くんの目がなぜかいつもよりも真剣だったのをふと感じたけど、結局私は気づかないふりをして目をそらした。