マフィアと探偵 3

26話 ページ34

アレクの問いにリンネは口角をあげて答えた。


リンネ「日本を出る……と言いたいところだけど、急遽仕事が入ってね。ブレインの残党を始末しろとボスから頼まれたから」



アレク「……ザンザスか」


アレクの呟きにリンネは肩を竦め外の景色に視線を移した。


リンネ「まあ、仕方ないわ。終わったらすぐにイタリアへ帰るから先生は先に行ってて」


アレク「……わかった」


そう言ってアレクはニケと一緒に部屋を出た。扉の閉まる音が聞こえた後、リンネは夜景を見ながら思い出す。




５年前、



ヴァリアーの幹部になりボスのザンザスが凍りづけになって２年、



マフィアに追われるはめになったリンネは裏路地の中で走り物陰に隠れていた。


男Ａ「クソッ、見失った！！」



男Ｂ「想像以上に逃げ足の速い女だ！！」



男Ｃ「取り敢えず手分けして探すぞ！！」


男の声を合図に走り出し遠ざかったのを確認してため息をついたリンネ。


フードを被り裏路地から出て行こうとした瞬間、突然何処かから血の匂いがした。


リンネ(これは、……血？誰かいるの？)



そう思ってリンネは銃を取り出して壁に寄りかかりながら覗く。


リンネ「……！」


覗いてみると、腹を抑え壁に寄りかかって座り込んでいる男がいた。



近寄ってみると男が手で押さえている所に血が出ていることがわかった。


リンネ「こんな所に人がいるなんて、しかも撃たれてるし、このままだと死んじゃうから殺してあげる」



そう言ってリンネは銃を男の頭に向けた。そして引き金を引こうとした瞬間、突然男が虚ろな表情で顔をあげた。


リンネ「！！……やめた、気が変わったから助けてあげる。さぁ、この手を取りなさい。そうすれば貴方を助けてあげる」


そう言ってリンネは男に手を差し出す。そんなリンネに男は驚きつつも、ゆっくりと手を伸ばした。


その後男は意識を失いリンネは男の腕に肩をまわし闇の中へと消えていった。









とある森の中、



人気のない森の中で大きな屋敷があった。



そこはクロムウェル家が使用している別荘。もちろんそんな別荘があることは誰も知らない。



あの後リンネは別荘に辿り着き男の服を脱がし撃たれた部分に弾があったためそれを取り除き治療をした。


撒き散らかした救急箱を片付けリンネはチラリと男を見る。


リンネ(何で助けたのかしら？いつでも殺せたのに……)

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