梓弓-3 ページ29
深夜の高専にお邪魔する。
要件は勿論夜蛾オジサンにある。
回収した呪具を届ける為だ。
ギシ、ギシ。
古い校舎は簡単に音を立てる。
生徒が起きちゃうだろうが。黙れ廊下。
無駄に念じながら進む。
「オマエ、こんな時間に何の用だ?」
後ろから刃を突きつけられる。
『今どきの子は物騒だなぁ』
「逸らしてんじゃねぇぞ」
さらに近づいた刃。
この子、呪力を感じない。
『ごめんごめん。ただ学長に用があるだけよ』
「こんな時間にか」
疑い深い。いい事だ。
『この時間だからだよ』
答えながら彼女に足払いする。
「(はや…っ)」
『乱暴してごめんね。明日仕事だから早く帰りたくて』
鋭い眼差し。
この時間に起きてる子がいるとは驚いたよ全く。
『この事は誰にも秘密ね。私のこと知りたければ後で学長に聞いて』
オジサンなら上手く逸らしてくれるはず。
おやすみなさい、と言いながらその場を離れた。
彼女は追ってこなかった。
・
「あぁ、それは禪院真希だな」
夜蛾オジサンが呪具を受け取って答える。
禪院。御三家の一角。
『へぇ。彼女、いい目してたな』
そう言うとオジサンは笑った。
「オマエがそんな事言うなんてな。
真希は悟の教え子だ」
案外、オマエも教師向いてるかもな。
それまた笑って言った。
『悟の…』
意外だとは思わなかった。寧ろ、納得。
『私なんかが教えるなんて無理だよ』
何かを与えるなんてこと、難しくて。
__よぎる乙骨くんの笑顔と禪院さんの強い眼差し。
私はきっとそれを奪ってしまう。
『与える側になりたかった』
ぽつり、本音が零れる。
「…遅いことは無いぞ」
『え?』
「いつだって道は変えられる。Aにはその力がある、保証する。
俺の子だからな」
『…ははっ、私はそんなに強面に生まれてないよ』
あったかい。
・
「オダさん…?」
「おい、何ぼーっとしてんだよ」
心配そうな憂太くんと、呆れた表情の真希ちゃん。
『悪いね、行こうか』
あの後オジサンは、真希ちゃんにしっかり問い詰められたらしい。
ちゃんと黙っててくれたけど、任務は同行させられた。
『呪霊洩らしてるよー、お2人さーん』
「チッ」
「すいませんっ!」
何事にも真っ直ぐ。
彼等の青春は、大人の私達が守ってやらねば。
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1 - 泣きそうで😭感動モノがあって、呪術廻戦見ているからわかる場面もあって本当にありがとうございます🙏これからも頑張ってくださいね❗✌️ (11月5日 8時) (レス) @page36 id: 053afa639a (このIDを非表示/違反報告)
ましろ@桜川奈々(プロフ) - amroさん» コメントありがとうございます!まさかamroさんからコメントいただけるとは思わず感激しております…!応援ありがとうございます。私も陰ながらご活動応援しております。 (2021年9月6日 22時) (レス) id: aa54ca032f (このIDを非表示/違反報告)
amro(プロフ) - 初めまして、コメント失礼いたします。検索からこちらの作品で出会い一気に読み終えてしまいました。大好きなさしす組と主ちゃんの関係がとてもよくて最後は涙腺崩壊でした…。素敵な作品を拝ませて下さりありがとうございました!これからもご活動応援しています! (2021年7月28日 9時) (レス) id: 18748080be (このIDを非表示/違反報告)
桜川 奈々(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!涙腺を刺激できた(?)のであれば私も嬉しいです(´ω`) (2021年5月29日 22時) (レス) id: aa54ca032f (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 感涙見た時にはもう涙が止まらない。涙腺緩くなったと思った…。 (2021年5月29日 14時) (レス) id: 4534ab9975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜川 奈々 | 作成日時:2020年12月19日 0時