梓弓-1 ページ27
卒業の日。
と言っても何も変わらない。
ほんと、いつも通り。
「いや、味気な」
『それな』
ブーブーと硝子が騒ぐ。
「やかましい。卒業証書はやるから静かにしろ」
夜蛾オジサンは一蹴。
「まぁ、特別感ないよね。みんなで写真撮る？」
携帯片手に、机の上に立っている悟。
「撮らん。座れ」
いい音を立てて頭を叩かれている。
『いや、持ってるそれ私達の証書だろ』
丸めるな。叩くのに使うな。
「渡すから静かにしてくれ」
全然静かにならない、私達だけの卒業式。
・
皆で日が暮れるまで、小さなお菓子パーティーをした。
『あー、もう暗いじゃん。ちょっと荷物取ってくるわ』
騒ぐ2人の声が響く教室を出て、自室に向かった。
『荷物、案外少ないな。
ありがとうございました』
目の前に広がる、何も無い部屋。
4年間過ごした自室。
「本当に2人に言わなくて良いのか」
『うん。これからの事も、何も言わないでね』
「…分かってる。そうゆう約束で入れたからな。
後悔しないか？」
『後悔ならとっくにしてる』
荷物を手にとって、夜蛾オジサンの正面に立つ。
『今まで、ありがとうございました。
オジサン強いから大丈夫だと思うけど、元気でね』
「オマエそう言って連絡しないとかナシだからな。月1で連絡するからな」
するって、ちゃんと。そんな心配しないで。
『…行くわ。あの2人勘づくの早いし』
じゃあね、と慣れない笑顔で此処を出た。
「…ヘタクソだな」
＿＿＿＿この日をもって私、苧環Aは消息不明として処理された。
知っているのは夜蛾と、上層部のみ。
・
2017年。
27歳になった私は、パソコンと睨めっこをしていた。
「先輩何してるんですか、虫でも？」
『ううん違うの。なんだか最近、文字がボヤけて…』
「え、老眼？早すぎません？」
気の利く後輩ちゃんに蒸気の出るアイマスクを貰い、一休みする。
『ありがとー』
ついでに後輩ちゃんに慿く蠅頭を祓って。
「？今なにか、」
『虫、虫。
気がつけば今の会社でも指導者側に。
術師としてはフリーで、週1日。
「明日たしか休みでしたよね。ちゃんと寝てくださいよ」
『はは、ありがとう』
あれから笑顔は、自然になった気がする。
言葉使いも、猫被りして。
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１ - 泣きそうで😭感動モノがあって、呪術廻戦見ているからわかる場面もあって本当にありがとうございます🙏これからも頑張ってくださいね❗✌️ (11月5日 8時) (
レス) @page36 id: 053afa639a (このIDを非表示/違反報告)
ましろ@桜川奈々(プロフ) - amroさん» コメントありがとうございます！まさかamroさんからコメントいただけるとは思わず感激しております…！応援ありがとうございます。私も陰ながらご活動応援しております。 (2021年9月6日 22時) (レス) id: aa54ca032f (このIDを非表示/違反報告)
amro(プロフ) - 初めまして、コメント失礼いたします。検索からこちらの作品で出会い一気に読み終えてしまいました。大好きなさしす組と主ちゃんの関係がとてもよくて最後は涙腺崩壊でした…。素敵な作品を拝ませて下さりありがとうございました！これからもご活動応援しています！ (2021年7月28日 9時) (レス) id: 18748080be (このIDを非表示/違反報告)
桜川 奈々(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！涙腺を刺激できた(？)のであれば私も嬉しいです(´ω`) (2021年5月29日 22時) (レス) id: aa54ca032f (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 感涙見た時にはもう涙が止まらない。涙腺緩くなったと思った…。 (2021年5月29日 14時) (レス) id: 4534ab9975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜川 奈々 | 作成日時：2020年12月19日 0時
