贖罪-3 ページ20
「新しい靴買っちゃった!可愛くない?」
「そんであの国語の教師がさぁダルいんだよマジ」
「帰りマカロン買いに行こーよ」
いつもなら羨ましいって思ってた会話も
今はただの雑踏にしか聞こえない。
・
『すみませーん。ちょっとお尋ねしたい事があるんですけどー』
アパートのチャイムを鳴らしながら、大声で呼びかける。
「なんだよ…はい?」
『あぁ良かった。外出してなくて』
ゆっくりと開かれた扉の先に、会いたかった人。
『おじさん、久しぶり』
「…?誰…
ぁ…圭太の、」
『気付くの遅いよ。
自分が
腹を蹴飛ばし、玄関の中に入る。
鍵を閉め、一瞬の静寂。
「ひっ…オマエ、生きて…!」
生きてるよ、お陰様で。
『おじさん、よくお父さんの相談に乗ってくれてたよね。ありがとう。
おかげでスグに名前分かっちゃった』
報告書にあった非術師の名前。
随分見覚えがあると思った。
「しらっ知らない!俺は何もしてない!」
『呪詛師雇っといてそれは無いよ。
何のうのうと生きてんだオマエは』
一般人だからって
『許されると思うな』
・
高専に戻った夜蛾は唖然とした。
自分の机が荒れていることでは無い。
「報告書がない」
自分の子のように育てた彼女の顔が浮かんで消える。
まさか。
「傑、今から言う場所にすぐ向かえ。
Aが一般人を殺めるかもしれん」
電話先で息を呑む音が聞こえる。
「アイツに1番近いのは傑なんだ。
…頼む」
夜蛾は住所を口頭とメールで伝えた。
自分の過ちだ。それを教え子に頼むのは間違ってる。
だがこうするしか、道はなかった。
彼は重たいため息を吐き、念の為県外にいる五条にも電話をかけた。
・
尻餅を着いたおじさんの左足を握る。
「ああああああっいだいいだい痛い!!」
『静かにしてよ、近所迷惑でしょ』
お父さんは、痛いって言う時間さえ無かったんだよ。
『不思議だね。私、今まで呪詛師だって命を奪ったことないのに
おじさんが相手だと、すぐに
次は右足を握る。
煩い口元を、傍にあったタオルを詰め込んで黙らせる。
荒い息遣いが部屋を占める。
このクソみたいな世界にサヨナラを。
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1 - 泣きそうで😭感動モノがあって、呪術廻戦見ているからわかる場面もあって本当にありがとうございます🙏これからも頑張ってくださいね❗✌️ (11月5日 8時) (レス) @page36 id: 053afa639a (このIDを非表示/違反報告)
ましろ@桜川奈々(プロフ) - amroさん» コメントありがとうございます!まさかamroさんからコメントいただけるとは思わず感激しております…!応援ありがとうございます。私も陰ながらご活動応援しております。 (2021年9月6日 22時) (レス) id: aa54ca032f (このIDを非表示/違反報告)
amro(プロフ) - 初めまして、コメント失礼いたします。検索からこちらの作品で出会い一気に読み終えてしまいました。大好きなさしす組と主ちゃんの関係がとてもよくて最後は涙腺崩壊でした…。素敵な作品を拝ませて下さりありがとうございました!これからもご活動応援しています! (2021年7月28日 9時) (レス) id: 18748080be (このIDを非表示/違反報告)
桜川 奈々(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!涙腺を刺激できた(?)のであれば私も嬉しいです(´ω`) (2021年5月29日 22時) (レス) id: aa54ca032f (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 感涙見た時にはもう涙が止まらない。涙腺緩くなったと思った…。 (2021年5月29日 14時) (レス) id: 4534ab9975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜川 奈々 | 作成日時:2020年12月19日 0時