【短編】きっと世界を怨んでいたでしょう。 ページ44
地面に力無く身体を倒し、顔を俯かせる餓鬼と、それをすぐ横で見下ろす私。
ザッ
『却説…お前が、石川鶉だな?』
石「……(コクッ」
『何故、自分が此処に居るのか判るか?』
石「……父、様と…母様に…棄てら…」
『棄てられたんじゃない__
お前は殺されかけたんだ。"父様"と"母様"になァ』
態と言葉を遮る。
石「ち、ちが……」
『何が違うんだ?ったく、餓鬼の頭ってのは嫌な記憶は自動で消されるのか?』
石「……ヒック……グスッ…」
____ピリッ
『(怒ってきた怒ってきた…)』
自然と口角が上がる。
『今私が此処にいる理由はなァ、お前の御両親に頼まれたからだ。お前を殺すように、とな』
石「…グズッ…」
『父様と母様はもうお前が要らないんだとよ』
石「……」
『だから大人しく死んでくれるか?』
石「…ぁ……だ」
____餓鬼の雰囲気が変化した。
敢えて聞き返さず、言葉で攻め続ける。
『異能を持つ子供は不運の象徴だ。誰からも愛されず、誰かを愛す事も難しい。それだったら死んだ方がマシかもよ?』
笑みを浮かべたまま話しかける。
石「……死……ぁ…か………
死ん……ま…か……
死…でた…るか……!」
腕に力をこめ、必死に立ち上がろうとする餓鬼。感情に感化されてか、餓鬼自身に電気が纏わり付いていく。
『そうだ。立て。そして____』
餓鬼が顔を上げた瞬間、自分の顔を寄せる。
『怨め。呪え。自分をこんな目に合わせた"父様"と"母様"を』
『私が手伝ってやろう。お前のその異能を、お前の為に使えるようにしてやる』
−−−こっちへおいで、鶉
・
・
数日後。
コツ
コツ
太「やあA、聞いたよ…目標(ターゲット)の子供を拾ったって。いいのかい?"殺す"のが仕事じゃなかったのかい?」
『おや、人の事云えるのかい、"治"?1週間程前にお前も餓鬼を拾ったと聞いたけど…。ククッ、餓鬼は殺したよ…社会的にね。心臓を止めろ、とは云われてないからなァ』
太「…よくそれで先方は納得してくれたね」
『納得?
__1年以内に消える組織なのに態々了承なんて要らないでしょ』
治は静かに目を見開いた。
『1年だ。1年であの餓鬼は…異能で自分の親を殺す事になる。
想像してみてよ。自分を殺そうとした親を今度は自分が殺すんだ……
ククッ、今から楽しみで仕方ないよ』
太「本当に君は…遣る事がえげつないね」
−−石川鶉、黒に染まる日
【番外編】人間の深層心理→←【短編】そんな出会いが無かったら、
823人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ましろ(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます!中て、の漢字と当て、の漢字は意味が同じだそうです。というのも私も調べながら使用しております(^_^;)なので、誤字ではないです!ただ常用では無い方の漢字を使用しただけになります! (8月26日 19時) (レス) id: aa54ca032f (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - このお話読んだばかりですが面白くて好きになりました。質問なんですが8.9話くらいの会話であった中てたらって当てたらの間違いですか?誤字なのかなと気になりました😖 (8月17日 21時) (レス) id: a9005c748b (このIDを非表示/違反報告)
桜川 奈々(プロフ) - Mさん» Google先生に翻訳して頂いております( ̄^ ̄゜) (2020年10月8日 1時) (レス) id: 9c4eef1db5 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - スペイン語喋れるんですか?! (2020年3月17日 5時) (レス) id: 5bd05575e7 (このIDを非表示/違反報告)
桜川 奈々(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます!続編さっき出しました!本篇まだですが早めに更新できるようにしますね! (2016年6月9日 23時) (レス) id: d2923cd544 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:奈々 | 作成日時:2016年3月20日 21時