【番外編】DEAD APPLE (5) ページ17
『この異能は身に覚えがあるねェ。否、ありすぎる。
出ておいでよ、分離した異能さん』
態とらしく足音を立てて現れたその人物は、私ととても似ていた。
『なーんか嫌な感じ』
「ふふ、あの男の居る場所が分からずに歩くとか、とんだ兵六玉だね」
『(喋った…しかも馬鹿にされた…)』
「骸砦。そこに太宰治は居る」
骸砦。ヨコハマにある廃棄された高層建築物。
『あら、とても親切なのね。それとも、他に何か企みでも?』
「…」
第四十一帖の「幻」。恐らく異能の私が使った能力はこれだ。
だがこの異能は使用者も意識を失う。私を殺すのには向いていない。
『異能力の私は、一体何を考えているのかしらねェ』
「簡単な事。貴女を殺したって私にはなんのメリットも無い。だから殺さない、それだけ。
それと、私は貴方の分の力しか持っていない」
『それって_』
「嗚呼、もう時間切れ。不完全な私に出来るのは此処迄ね。
じゃあね、今度はちゃんと私に力を頂戴な」
・
目が覚めて、後ろを振り向くと僅かに光が洩れていた。ああここ、階段降りて直ぐの処じゃないか。
周りには誰も居なかった。
『あー…苛苛する』
この感情はニコチン不足だからだと思うけど。
・
・
-NO side-
廃棄された建物、骸砦。
その中にある澁澤龍彦のコレクションルーム、ドラコニア。
澁「自分の異能力に勝てる人間が、一人でも居ると思うか?」
太宰に詰め寄った男は、思い出したように呟いた。
渋「却説、そろそろ彼女が着く頃か。おもてなしの準備をしなければ」
外套を翻し、澁澤はドラコニアを出ていく。
太「…」
ドス「ふふ、心配ですか?彼女が」
太「いいや、驚いているだけさ。
面倒くさがりのAがここまで来たことにね」
ドス「確かに。彼女を動かす程の興味がこの場所にあったのでしょうかねぇ」
太「全く…態とらしいよ君は」
ドス「まあ最も…その興味の答えが此処だとは限りませんがね」
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麗葉 - 続きみたいです!!主ちゃん死なないでぇ! (7月15日 21時) (レス) @page32 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続きはないんですか?是非‼️作ってぐたさい‼️読みたいです!!!。 (2022年2月16日 15時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
桜川 奈々(プロフ) - ゑごまさん» 夢主の誕生日をお祝いして頂きありがとうございます!読み返していただけるなんて嬉しすぎて…(T ^ T)完結までよろしくお願いします! (2020年10月8日 1時) (レス) id: 9c4eef1db5 (このIDを非表示/違反報告)
ゑごま - 夢主happy birthday!! この作品が大好きで、最近読み返してます!更新再開するの楽しみにしてます! (2020年5月21日 9時) (レス) id: da1fba78c8 (このIDを非表示/違反報告)
桜川 奈々(プロフ) - 1.9さん» ありがとうございます!とても励みになります!更新頑張ります! (2019年5月19日 16時) (レス) id: 9c4eef1db5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奈々 | 作成日時:2019年4月23日 22時