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「で…他人の家に来て何してんだお前は?」


「A君は黙って座ってて」




ある日の夕方だった。


仕事が終わって自宅へ帰りスマホをいじっているとチャイムが鳴った。




「こんにちはAくん」


「あ?」



まぁいつでも来ていいと言ったからには追い払う事もできなかった。(そもそもあいつの妹である時点で俺には追い払えないけど…)

そしたらいきなりキッチンを貸せと言い始め、俺にはリビングで待っているように指示を出した志保。





「一人暮らしでろくな物食べてないんじゃないかと思って」


「失礼だな…」


「じゃあ最後に料理したのいつ?」


「…」


「包丁、ほこり被ってたんだけど?」


「…」



黙ってテレビを見ていることにしよう。



「なぁ、料理までして俺から何を聞きたいんだ?
あいつの事、いつも話してるだろ?そんな事しなくても」


「いいから」



言い出したら聞かないとこそっくりだな…




.




「…」



出されたのは鯖の味噌煮と肉じゃがだった。



「…口に合わなかったら吐いても捨てても良いから」



頼んでもないのにキッチンに立ったやつの割には自信なさげだった。…見た目は間違いなく美味そうだろ



「…いただきます」


俺が食べるのをじっと見つめる志保。




まずは鯖の味噌煮から口に運んだ…



「っ…」



「大丈夫?!不味かったらすぐ吐い…」



ゴミ袋を差し出した志保を制した。





…やべ、


俺これ、我慢できんのかな…




何で……






なんて、疑問に思う方がおかしいか…









…あいつが作ったのと同じ味






「ご馳走様」



最後まで心配そうに見てた志保。





「大丈夫…?」



ああ、そういや感想言ってなかったな…





「美味かった」



明らかに明るくなった志保の顔。




「そうならそうと早く言ってよね!」


「悪ぃ、あんまり美味いから話すのも忘れてた」


「!」


「…料理、あいつに聞いたのか?」


「…そうだよ」


「姉妹でそういうのってなんかいいよな」


「味、似てた?」


「…ああ、明美が作ったのかと思ったよ…なんてな」


「そっか…そりゃそうよ、お姉ちゃんに聞いたんだもん。それに…」


「それに?」


「何でもない。


(それに……お姉ちゃんと同じ気持ちだったもん…)」

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青魔道士 - 面白いです!! 哀ちゃんと夢主くんにめちゃキュンキュンします!! 黒鉄の魚影を見てからこんな小説を探してました!!これからも無理のないように更新頑張って下さいいつまでも待ちます!! (10月17日 7時) (レス) id: 9d0898b86e (このIDを非表示/違反報告)
山さん - ひぇぇぇぇ…………続きが気になり杉田玄白……無理のない程度に更新頑張ってください!!まってまァァァス!! (2022年5月23日 6時) (レス) @page46 id: 3ec1933ec5 (このIDを非表示/違反報告)
ふー(プロフ) - nanoka(*´∀`)さん» きゃぁぁありがとうございます!更新遅くて申し訳ないです🙇‍♀️ (2022年3月27日 20時) (レス) id: 91236cccab (このIDを非表示/違反報告)
ふー(プロフ) - やまはさん» ありがとうございます!!更新遅めですがこれからもよろしくお願いします🙇‍♀️ (2022年3月27日 20時) (レス) id: 91236cccab (このIDを非表示/違反報告)
nanoka(*´∀`)(プロフ) - んにゃーー、好きです〜。何度も読みに来てしまいます! (2022年3月21日 5時) (レス) @page30 id: c5cc39e3a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふー | 作成日時:2021年9月9日 0時

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