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荼毘side
その日から俺たちは"友達"になった
適当に外で寝泊まりする俺のもとに足繁く通っては色んな話を聞かせてくれた
俺はそれをいつも楽しみにしていた
A「それでね！その時かっちゃんがね、」
Aの話にいつも出てくる"かっちゃん"という男
そいつの話をしている時、Aは愛おしそうに笑う
それでいい。
お前には幸せになって欲しいと
柄にもなく思ってたんだ。
『俺のものにしてぇ』
心の中に沸々と燻る黒い想いには蓋をして。
A「燈矢くん、あのね、私ヒーローになりたいんだあ」
拳を前に突き出して、彼女はニカッと笑った
もし俺が敵だと知られてしまったら＿＿
荼毘「そうか、お前なら、なれんじゃねぇの。」
A「燈矢くんが言うなら、そうだね！」
もう少し、傍に居させてくれよ
・
・
・
いつも通りだった
Aと出会ってそのいつも通りが少し変わってしまっていただけで。
だって俺は、
荼毘「クソ野郎がよぉ…
んな雑魚の分際で勝てるとでも思ったか？
哀れだなぁ！！」
いつも通りムカつくやつに火をつけて
いつも通り焼き殺す。
『燈矢くん！！』
俺の名前を呼んで笑うAの顔が思い浮かんで
一瞬手が止まる
ダメだ
俺は
絆される訳にはいかねえ
A…
これ以上俺に優しくしないでくれ
敵じゃいられなくなる
お前といると心が弱くなるんだよ
A「燈矢…く、ん？」
物音が聞こえて振り向くと、怯えているAの姿。
あァ、そうだよ
もっと俺を見て恐がって
醜いと罵ってくれよ
俺が俺であるために。
A「なに、してるの、」
荼毘「A、俺は燈矢じゃねぇ。
＿＿＿＿＿＿＿＿荼毘だ。」
A「ちがう！燈矢くんは燈矢くんだよ、
私たち友達でしょう？もっと一緒に居たいよ、
あなたが敵になってしまったら…
一緒にいられないのに」
初めて見た、Aの涙
お揃いの蒼い瞳でもAのは透き通っていて
＿＿＿＿＿＿＿＿綺麗だ。
荼毘「俺は友達だと思ったことはねぇ。」
傷ついた顔で座り込んだAに背を向け
俺はその場から立ち去った
友達じゃねえよ
俺はずっとお前に、惚れてたんだ。
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作者名：n484r | 作成日時：2023年12月9日 20時
