14本目 ページ15
、
、
「――では以上で終了になります。女子は各自解散,男子は練習がありますので指定の体育館に向かってください」
死にそうなメンタルをなんとか持ち直しながら,逃げだしそうな足を抑える。
あの叫びともいわんばかりの独り言を発した後,中田久美さん達は苦笑いしながら話を戻してくれた。
しばらくすれば私への注目は減ったが何人かはちらちらと私を見ていたことは気づいている。
、
がたがたと椅子を引く音が響き,顔合わせが終了したことを告げた。
私は全日本女子バレーの監督らしい中田久美さんが資料を整えているのを見計らって彼女に話しかける。
「あの、!」
彼女のマダム風のメイクな瞳に見上げられる。
目が合うと彼女は困ったように笑った。
出入り口のドアに向かっているはずの選手の何人かは何故かこちらに注目しているのが背中越しでもわかる。
そしてここまできたら多少の視線は気にしなくなった。
「今日はごめんなさい…こちらの説明不足ね」
「いや、全日本って……!!それになんでバレー、」
「あら,聞いてない??そちらの彼からの推薦よ?」
中田久美さんの視線の先に,彼女が言う''そちらの彼''はいつの間にかニコニコで私の隣に立っていた。
……それはご察しの通りストーカー男こと西田くんで。
「は、!?」
「たまたま付きっぱなしになってたカメラの映像,浅野さんに貰って渡しちゃった!!」
「渡しちゃったじゃない!!!!」
私の大声にざわざわしていた会議室はしん、としているが私はそれどころではないのだ。
バレー未経験無知な私がバレー選手に…しかも全日本選手だと?
ストレスでキリキリ痛む胃を抑えながら「ごめんごめん」と反省のはの字もない西田くんを睨みつける。
「でも,本当にごめんなさい。お詫びに何か一つ言う事を聞くわ」
「これからの希望ポジションとか,合宿の一人部屋希望とか」と笑顔で続ける彼女の発言は,もう私に全日本女子バレー選手になるという拒否権を与えてくれなくて。
頭に血が上りまくった私に正常な判断は出来ずに後に自分でもどうした?とツッコミを入れたくなる発言をする。
、
「じゃあ貴方のこと久美ちゃんって呼ぶよ!!?いいの!!?」
隣の西田くんが噴出し,背後で誰かがクスリと笑った。
彼女は驚いた顔をしながらも
「いいわよ」
綺麗な笑顔でそういった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 720人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪 - 43ページ42本目文章おかしいです (2019年11月17日 20時) (
レス) id: e28ee6ef13 (このIDを非表示/違反報告)
21子(プロフ) - 更新めちゃめちゃ楽しみにしてます！！ (2019年11月14日 21時) (レス) id: fe40dbd9a4 (このIDを非表示/違反報告)
リタ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (2019年11月13日 16時) (レス) id: 46e4a96814 (このIDを非表示/違反報告)
わかな - 更新ばり楽しみです (2019年11月7日 23時) (レス) id: 5c2b6ff2d8 (このIDを非表示/違反報告)
ひかるん(プロフ) - コメント2回目です笑夢主のバレーがどう成長していくけ楽しみです！落ちも楽しみです…笑更新頑張ってください！ (2019年11月7日 22時) (レス) id: 1f4ce4e8e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：海獅子
| 作成日時：2019年11月4日 17時
