なないろの。Ⅲ (ページ30)

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どきどきするのは恋だけでいいページ30

黄

黄「ほぉーら、いくで、予約取ってるんやから粘っても無駄やって」

いやいや言う照史を引っ張って総合病院にやってきた。

いつもはバラバラになるようにしてるんやけど、ほかに予定が合わなくて今日1日に2つの科をはしごすることになっている。

だから余計にいやいや言うんやろ、それで発作起こしたら週一で病院の方がよっぽどいやなのに。

黄「呼ばれてんで、ここで待ってるから、行ってき」

照史はやっぱり1人が怖いのか不安なのか中までついてきて欲しいと言うけれど、生憎ここの科は家族以外は中に入れない。

婚約者でもないただの恋人は、家族の“か”の字にも触れないわけで。

今まで俺が中に入ったのは医者に呼ばれて入った時と、良くはないけど救急車に同伴した時だけ。

橙「ただいま、」

黄「お疲れ、呼吸器内科いくで」

橙「えー、いやや、今日気道過敏性テストなんやろ」

気道過敏性テストというのは発作に近いものを誘発させて、どれくらいで気管支が狭くなるかな、っていうテスト。

要するに、わざと苦しい状態に近づけるんよ。

黄「しゃーないやろ、ロケ行くんやったら尚更やん」

これは本当にロケが心配や。