なないろの。Ⅲ (ページ13)

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羨ましいことページ13

桃

ずっと看護師の神ちゃんを見とって思うねん。

いつか元気になれたなら、俺もあんなに元気なら、走り回れたら。

看護師になりたかったなぁ、って。

こう思うようになったのは入院してからやけど、俺みたいにいつ死んでもおかしくないような人とも向き合って、ここは小児科やから時には小さい子と遊んだりして。

それって、すごくいい仕事だと思った。

人のために働いてるのが、輝いて見えた。

桃「なぁ、看護師って、大変？」

別に、なりたいなんて言ったことない。そんな素振りも見せたことない。

緑「大変やで。病棟で困ってる人がおったら、担当病棟ちゃうくても助ける。どんなに広い病院でも院内図は把握しなあかん。子どもにつきあって、楽しいこともある。やけど、担当してた患者さんが亡くなることもあるし、そのあとのケアやって看護師の仕事」

桃「そっか、じゃぁ「諦めなくてもさ。」、、？」

緑「素直になりたいって言えばええのに笑、患者側の経験があるって、凄く羨ましいな、って思っちゃう。、、確かに死と隣り合わせで生きるのは辛いし、羨ましいは言いすぎた。

やけど、術前に『あなたは手術したことあるの？』って聞かれても、YESって言えないし、治療拒否された時も、『辛さわかんないでしょ？』っていわれちゃえばそこまでやん

やから、、。患者さん側の経験があるって、凄く大きいことやと思うよ」

神ちゃんはどこか考えた顔をしながらそう言った。

やけど、俺はそれまで生きてられるかわからんもん。

緑「生きるために、今こうやって頑張ってるんやろ」

神ちゃんには全部お見通しみたいや。